お役立ちコラム

交通事故で労災保険は使えるのでしょうか?

営業のため社用車で外回りをしている際、自分の不注意で事故を起こしてしまい怪我をしてしまいました。自分に100%過失があるために自賠責保険が使えないのですが、労災の給付を受けることは可能でしょうか?

労災保険では過失割合は問題になりませんので、労災の給付を受けることが可能です。

交通事故による損害に対して、自賠責保険(国土交通省管轄)と労災保険(厚生労働省管轄)のどちらが優先して支給されるかについて法律上の規定はありません。政府内(省庁間)で「交通事故の場合は労災保険より自賠責保険適用が優先」とする行政通達が定められていますが、実際は自賠責保険と労災保険のどちらを利用するかは、被災労働者本人が決めることができます。

実際に交通事故で被災した場合は、通常は自賠責保険先行で何ら問題は有りません。なお自賠責保険の傷害事故の限度額は120万円となっています。この限度額には、治療費・休業補償・慰謝料のすべてが含まれています。ただし被害者の過失割合が100%の場合は、自賠責保険の保険金は支払われません。

労災保険は誰に過失があるのかは問題にならないため、自賠責保険が使えない場合などは労災保険に請求することができます。ただし飲酒運転など重大な過失の場合は、労災給付の全部または一部が受けられない場合があります。また慰謝料は労災保険の給付項目にありませんので、請求することは出来ません。

なお、自賠責保険と労災保険の両方が使える場合は請求の仕方によって損得が出る場合があります。例えば、自賠責保険の限度額の120万を超えた時点から治療費・休業補償費を労災に保険に切り替えて請求することが可能ですし(慰謝料は請求不可)、治療費は自賠責保険、休業補償は労災保険への請求が可能等、いろいろな請求方法が可能なため、状況によって判断するのがよいと思われます。

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