お役立ちコラム

未払い残業代を支給した場合の法人税や所得税の取り扱いはどうなるの?

弊社では過年分の未払い残業代を支給することになりました。この未払い残業代に対する法人税や所得税はどのように扱えばよろしいのでしょうか。

まず所得税の取り扱いですが、過年分の未払い残業代を一時金とするか過去の給与とするかで異なります。一時金として支給した場合、賞与を支給した場合と同様に、当期に支給することが確定した給与等に該当する為、過年分の所得税額や住民税額について修正は不要です。但し、従業員等においては、支給を受けた年分の給与が増大することから所得税やその翌年分の住民税に影響します。

一方で、過年分の未払い残業代が実労働時間に基づき過去の給与として支払われた場合、過年分の給与として取り扱われ、本来支給すべきであった日の属するそれぞれの年分の給与所得となり、源泉徴収義務者は未払い残業代を支給した時点で過年分の年末調整計算をやり直し、納付不足税額を支給日の翌月10日までに納付する必要があります。また、源泉徴収票の出し直しに加え、特別徴収義務者として給与支払報告書の訂正と再提出が必要となります。

 次に法人税の取り扱いですが、こちらは未払い残業代の支給形態が一時金か過年分の給与であるかに関係なく、支給した期の費用として損金算入されます。これは未払い残業代の支給額の決定が当期であることから、当期に債務が確定していると言えるためです。

<参考文献等>

 週刊 税務通信 №3470

関連コラム

匿名組合契約に係る営業者の税務上の取扱いに関する注意点
このたび匿名組合の営業者になることとなりました。匿名組合の営業者の税務の取扱いに関して、特に注意すべき点を教えてください。

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。