お役立ちコラム
新型コロナウィルスと雇用調整助成金
未だに世界中で猛威を奮っている新型コロナウィルス。現在も多くの人々や会社、社会に様々な影響を及ぼし続けています。特に新型コロナウィルスの影響で休業を余儀なくされた会社・事業主は多く、大企業・中小企業問わず、その影響は未だに解消していません。
そんな会社・事業主の為になされた対策のひとつとして【雇用調整助成金】が注目を浴びました。雇用調整助成金について解説致します。
目次
1.雇用調整助成金とは?
2.「新型コロナウィルス感染症の影響に伴う特例」版の雇用調整助成金とは?
3.オンライン申請とは?
Q1.雇用調整助成金とは?
雇用調整助成金とは、「経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練または出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するもの」(厚生労働省HP概要説明)です。
一般的な例としては、売上が下がり、従業員を計画的に休業させ、休業させた従業員に休業手当を支払った場合に、申請をした上で、要件を満たせば雇用調整助成金が支給されます。
雇用調整助成金の支給対象は
「雇用保険の適用事業所」であり、支給対象労働者は「雇用保険被保険者(6か月未満の労働者は除く)」に限られています。
また、主な支給要件として
・売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること
・雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数の最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと
・実施する休業等および出向が労使協定に基づくものであること(計画届とともに協定書の提出が必要)
・過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること
等、要件が多く、厳しいものでした。
本来の雇用調整助成金は、雇用保険被保険者以外の労働者に対する休業補償に関しては補填されず、また、事前に休業開始2週間前までに「計画届」を会社管轄の労働局へ提出していないと利用できない助成金です。
しかしながら、新型コロナウィルス感染症による休業要請や外出自粛要請は日本全国に及ぶ禍であり、急を要する対応であった事も鑑みて「新型コロナウィルス感染症の影響に伴う特例」版の雇用調整助成金が生み出されました。
Q2.「新型コロナウィルス感染症の影響に伴う特例」版の雇用調整助成金とは?
通常の雇用調整助成金の要件や提出必要書類を大幅に緩和し、多くの会社・事業主に適用しうるよう、数回の改良を重ねた4月1日から6月30日まで雇用調整助成金の特例措置となります。(2020.6.12現在)
支給対象となる事業主は
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(※)
※比較対象とする月についても、休業した月だけでなく、その前月または前々月でも可等、かなり柔軟な取り扱いとする特例措置となります
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
ことと緩和されました。
最大のポイントは、これまで事前に労働局へ提出が必要であった「計画届」の提出が不要になったことです。
また、助成対象となる労働者は
基本的に「事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当」などですが、学生アルバイトなど、雇用保険被保険者未加入の労働者に対する休業手当も、「緊急雇用安定助成金」の支給対象として補填する形の特例となりました。
助成額・支給対象日数についても、通常の雇用調整助成金を上回る特例措置となっています。
〇助成額
(平均賃金額(※) × 休業手当等の支払率)× 助成率 (1人1日あたり8,330円が上限)
(2020.6.12現在)
〇支給対象日数
原則として1年間で100日分、3年で150日分の所、緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和2年6月30日)に実施した休業などは、この支給限度日数とは別に支給を受けることが可能。
Q3.オンライン申請とは?
より多くの会社・事業主を救うべく、利便性の高いオンライン申請が構築されましたが、雇用調整助成金等オンライン受付システムで不具合が発生し、現在は利用出来ない状態です。
多くの会社・事業主が申請出来るよう、システム不具合の早い解消が待たれます。
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