お役立ちコラム

今からでも間に合う!電子帳簿保存サービス比較6選

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2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法ですが、直前の2021年12月に発表された令和4年度税制改正大綱により、「電子取引における電子保存の義務化」に2年間の猶予が認められることとなりました。
このことから、暫定的にファイルサーバ等を利用して電子保存している、あるいは、猶予期間の間に対応方法を検討する、といった未だに対策を決めかねている企業も多いかと思われます。
しかし、2023年10月に予定されている「インボイス制度」への準備と並行して考慮すると、実際にはあまり時間的な猶予はないかもしれません。

今回は、そのような企業向けに6つの「電子帳簿保存サービス」を比較してみました。

「社内の書類を電子保存したいけど、どうしたらよいか迷っている」という方は、是非参考にしてください。




改正電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は1998年に制定された法律で、「税法で保存が定められている国税関係の帳簿書類を、本来の紙保存から電子データに替えて保存することを認める」ものであり、施行以来2005年、2015年、2016年、2020年、そして2022年1月に改正を繰り返してきました。

2022年1月の改正による主なポイントは以下になります。

  • 所管の税務署長への事前認証制度が廃止
  • スキャナ保存に関する要件緩和(適正事務処理要件の廃止、原本廃棄要件の緩和など)
  • 電子取引情報保存の義務化(メール、ダウンロードした電子データ)




電子帳簿保存サービスについて

今回紹介する電子帳簿保存サービスは、次の2点を前提条件としています。

  • 電子帳簿保存法に対応している
    • 取引先、日付、金額による検索要件に対応
    • スキャナ保存に対応
    • 訂正・削除履歴あり など
  • JIIMA認証を取得している

そのうえで、次の項目を比較ポイントといたしました。

・書類の種類: 見積書、請求書など取扱い可能な書類の制限があるか
・価格(一部): プランが多い場合は、より低価格コースの一部を記載
・アップロード件数: 書類のアップロード数上限
・ユーザー数: 利用可能なユーザーID数
・容量制限: 見積書、請求書などの種類の制限があるか
・自動認識機能: 画像から自動的にテキスト変換する機能(AI-OCR)があるか
・タイムスタンプ機能 タイムスタンプ機能の有無
・承認フロー: ワークフロー機能の有無
・保管期限: アップロードした電子帳票の保管期限
・無料/お試し有無: 無料プラン、お試しプランの有無
・自社サービス連携: 姉妹サービスとの連携
・他社サービス連携: 他社サービスとのAPI連携
・オプションなど: SAML機能(SSO)、IPアドレス制限などその他オプション

各社のサービスは機能や価格プランも様々で、自社にとってどのようなサービスが向いているのか悩ましいところです。今回は3つのタイプ別におススメサービスを紹介いたします(サービス内容は2023年4月時点です)。




1.すみやかに紙や電子ファイルを電子帳簿保存法に則った形式で保存したい場合

取引先とのやり取りのなかで、見積書、注文書、注文請書、請求書、領収書など、さまざまな書類を発行/受取ごとにすべて電子保存できるシステムやサービスは多くはありません。
「一部の書類は経費精算システムや請求書発行システムを使って電子保存できているが、すべてではない」場合や、「とりあえず検索可能なファイル名で電子保存しているが、一元管理できていない」など、電子保存対応できていない書類を素早く簡単に保存可能なクラウドサービスが下記の3つになります。




バクラク電子帳簿保存


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株式会社LayerXが運営するバクラク電子帳簿保存は、シンプルで直感的な操作が可能です。

見積書や請求書、注文書、領収書など、様々な書類を簡単に電子保存でき、AI-OCRやタイムスタンプなどの機能も充実しています。他のサービスとして「バクラク請求書」「バクラク経費精算」「バクラク申請」などがあります。

無料プランや2023年12月末までのキャンペーンも実施中です。

書類の種類: 見積書、請求書、注文書、領収書など、制限なし
価格(一部): (a)月額9,800円(スタータープラン※1)~(b)月額12,000円(2023年12月までキャンペーン価格)
アップロード件数: (a)500件 (b)1,000件
ユーザー数: (a)10名 (b)500名
容量制限: 無制限
自動認識機能: (a)オプション(b)月100件まで
タイムスタンプ機能: あり
承認フロー: なし(バクラク申請にて可)
保管期限: なし
無料/お試し有無: 無料プランあり
自社サービス連携: バクラク請求書、バクラク申請・経費精算
他社サービス連携:
オプションなど: SSO(※2)、IP制限(※3)、メール受取設定など(※4)

※1 スタータープラン以外のプランはバクラク電子帳簿保存のサイトをご参照ください
※2 SAML認証によるシングルサインオン
※3 接続元IPアドレス制限
※4 メール添付ファイルの電子保存化




invox電子帳簿保存


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株式会社Deepworkの提供するinvox 電子帳簿保存は、シンプルな操作とともに連携機能が充実したサービスです。メールやウェブページからの取込み、GoogleDriveからの取込みや、他社サービスとのAPI連携も充実しています。

他のサービスとして、「invox受取請求書」「invox発行請求書」があります。

書類の種類: 見積書、請求書、注文書、領収書など、制限なし
価格(一部): (a)月額1,980円(ミニマム)(b)9,800円(ベーシック(c)29,800円(プロフェッショナル)
アップロード件数: 5万件まで(超過5万件ごと500円)
ユーザー数: 無制限
容量制限: 無制限
自動認識機能: (a)(b)(c)20円/件(※オペレータ入力100円/件)
タイムスタンプ機能: (b)ベーシック以上あり
承認フロー: (a)1段階 (b)(c)複数段階
保管期限: 10年
無料/お試し有無: お試しあり
自社サービス連携: invox受取請求書、invox発行請求書
他社サービス連携: BtoBプラットフォーム、楽楽精算 等
オプションなど: SSO、IP制限、メール・ウェブページ読み込み、GoogleDrive取込み 等




楽楽電子保存


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株式会社ラクスが提供する楽楽電子保存は、同社のサービス「楽楽明細」で受け取った請求書を一元的に管理できる「無料版」と、他の書類も含めて電子保存できる「有料版」があります。

元々は楽楽明細の受け取り側が無償で利用できる電子保存サービスを拡大し、多様な書類を保存できる有料版の提供が始まりました。スキャナ連携や閲覧制限など、今後順次機能追加が予定されています。

書類の種類: (a)無料版:楽楽明細受領のみ(b)有料版:制限なし
価格(一部): (a)月額10,000円(ライトプラン)~
アップロード件数: 制限なし
ユーザー数: 最低50名(50名追加ごと5,000円)
容量制限: 無制限(1ファイル20MBまで)
自動認識機能: 20円/件
タイムスタンプ機能: あり
承認フロー: なし
保管期限: 11年4ヶ月
無料/お試し有無: 無料プランあり。有料版のお試しはなし
自社サービス連携: 楽楽明細書
他社サービス連携:
オプションなど: 今後スキャナ連携機能、閲覧制限機能を予定




2. 専用ソフトと連動して一元的に書類を電子保存したい場合

会計ソフトを利用している場合、同じシリーズに書類を電子保存できれば、電子帳票と書類をまとめて管理ができますね。あまりばらばらにサービスを利用したくない場合、次のサービスを利用するのもよいでしょう。



PCA Hub eDoc


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ピー・シー・エー株式会社の提供するPCA Hub eDocは、比較的新しいサービスで、単独でも利用可能ですがPCA会計クラウド、PCA給与クラウドなどPCAクラウドシリーズとの連携が可能で、豊富な料金プランが用意されています。

他のサービスとして、「PCA Hub 給与明細」「PCA Hub 取引明細」があります。

オプションのIPアドレス制限やスキャナ連携、ファイル共有機能など今後機能追加が予定されています。

書類の種類: 見積書、請求書、注文書、領収書など、制限なし
価格(一部): (a)月額5,800円(プラン20)(b)9,800円(プラン50)ほか多数
アップロード件数: 制限なし
ユーザー数: (a)20名(プラン20) (b)50名(プラン50)
容量制限: (a)40GB(プラン20) (b)80GB(プラン50)
自動認識機能: 100件まで月額3,000円(プラン100)~
タイムスタンプ機能: 250件3,000円
承認フロー: なし
保管期限:
無料/お試し有無: お試しあり
自社サービス連携: PCAクラウドシリーズ
他社サービス連携:
オプションなど: IP制限、スキャナ連携、ファイル共有(今後予定)




勘定奉行 証憑保管オプション


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株式会社オービックビジネスコンサルタントが提供する、勘定奉行 i11/VERP11(オンプレミス版)は、証憑保管オプション(以前は「奉行Edge証憑保管クラウド」の名称)を追加することで、あらゆる証憑を勘定奉行内に電子化して保存することができます。

なお、勘定奉行クラウドには標準で機能搭載されています。

※オンプレミス版の証憑保管オプションと勘定奉行クラウドに標準搭載される証憑保管機能は異なるサービスとなるため、勘定奉行i11から勘定奉行クラウドへの移行時には注意が必要です。

書類の種類: (a)オンプレミス版:制限なし(b)クラウド版:制限なし
価格(一部): (a)年間96,000円~(b)標準搭載
アップロード件数: 制限なし
ユーザー数: 勘定奉行ユーザーIDに紐づく
容量制限: (a)20GB~ (b)100GB~
自動認識機能: (a)なし (b)オプション
タイムスタンプ機能: あり
承認フロー: あり(勘定奉行機能)
保管期限: なし
無料/お試し有無: なし
自社サービス連携: 勘定奉行i11/VERP11(オンプレ版)、勘定奉行クラウド
他社サービス連携:
オプションなど:




3.紙書類が多いので複合機と連動して電子帳簿保存したい場合

紙の書類の受取が多い場合、複合機などでスキャンして電子保存することを考えると手間がかかります。次のサービスはその手間を短縮できる機能を持っています。



RICOH 証憑電子保管サービス


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RICOH 証憑電子保管サービス

株式会社リコーの提供するRICOH証憑電子保存サービスは、簡単な操作で様々な書類を電子保存可能なサービスです。RICOH製複合機との連携による自動取込み保存機能があり、複合機からスキャンしたデータを直接クラウドへ保存できます。

オプションの入力代行サービスは、検索項目の正確な入力をサポートします。

※対象のRICOH複合機製品は限られています。詳細はRICOHウェブページをご参照ください。

書類の種類: 制限なし
価格(一部): 月額3,000円(初期費用5,000円)
アップロード件数: 制限なし
ユーザー数: 1ID=9999名
容量制限: 10GB(5万件想定 追加10GBごと500円)
自動認識機能: なし(入力代行サービス70円/1件)
タイムスタンプ機能: なし
承認フロー: なし
保管期限: なし
無料/お試し有無: なし
自社サービス連携: MakeLeaps(請求書作成クラウド)、RICOH受領請求書・受領領収書サービス等
他社サービス連携:
オプションなど:




まとめ

様々な電子帳簿保存サービスが現状提供されいてますが、選択のポイントは、

  • 自社が必要としている機能が充足しているか
  • 長期間保存するのでサービスに将来的な懸念がないか
  • 既存の利用しているサービスとの親和性はあるか

といったところです。
例えばスキャナ保存要件をチェックする機能があるかどうか、といった点はサービスによって異なります。あるいはすでに利用しているサービスに電子保存機能があるのに、異なるサービスを導入して社内が混乱に陥るといったことも避けるべきでしょう。

また、一旦サービスを利用し始めると、他のサービスに乗り換えたいといった場合、保管された電子データを一旦ダウンロードして移行しなければならず、労力がかかります。

サービスによっては無料プランやお試しプランを用意しているものもあるため、いざ導入のまえに十分吟味して、比較検討してみることをお勧めいたします。

以上

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