お役立ちコラム

国際運輸から生じる所得課税の取り扱いについて

船舶又は航空機の国際運輸から生じる所得に対する課税については、租税条約上のどのような取扱いとされていますか。

船舶又は航空機の国際運輸から生じる所得、即ち国際運輸業所得については、その運航を行う企業が源泉地国において恒久的施設を有する場合であっても、その源泉地国で課税を行わず、企業の居住地国で課税することとしています。


OECDモデル条約8①は、船舶又は航空機の国際運輸に運用することにより生じる利得に対しては、企業の実質的管理場所が存在する国により課税することができるとしています。


しかし、現状は各国が国際運輸業から生じる所得に対して通常相互免除としていることで解決が図られています。例えば、日米租税条約8①は、日米いずれかの企業が船舶又は航空機を国際運輸に運用することによって取得する利得に対しては、当該企業の居住地国による課税のみを認めて課税関係の明確化、すなわち、結果として相互免除としています。


米国との関係では地方税が対象となっていないことから、日本が米国のいずれの州においても日本の住民税又は事業税に類似する租税を課さないことを条件として、米国企業に対して住民税及び事業税を免除することとし、地方税・州税の相互免除の実質的確保がなされております。


<参考文献等>

『国際課税質疑応答集』税理士 吉川 保弘 法令出版
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5400.htm

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