お役立ちコラム

随時改定(月変)のイレギュラー時の判断事例集※その2

随時改定(月変)のイレギュラー時の判断事例集※その1より続きます。

 

一時帰休における随時改定の標準報酬月額の決定・改定について

 

Q1

一時帰休に伴う随時改定について、1か月の全てについて休業手当等の支払を受けている場合が対象となるのか。それとも、1か月のうちの1日でも休業手当等の支払いを受けていれば対象となるのか。

A1

1か月のうち、一時帰休に伴って固定的賃金が減額支給される日が1日でもあれば、随時改定の対象となる。

 

Q2

一時帰休に伴う随時改定は、低額な休業手当等の支払いが継続して3か月を超える場合に行うこととなるが、いつの時点から3か月を起算するのか。

A2

3か月は暦日ではなく、月単位で計算する。例えば、月末締め月末払いの事業所において一時帰休の開始日を2月10日とした場合は、5月1日をもって「3か月を超える場合」に該当し、2・3・4月の報酬を平均して2等級以上の差が生じていれば、5月以降の標準報酬月額から随時改定する。

なお、5月1日時点で一時帰休の状況が解消している場合には、3か月を超えないため、随時改定は行わない。

 

Q3

一時帰休期間中に休業手当等の支給割合が変更した場合は、随時改定の対象となるのか。

A3

随時改定の対象となる。

 

Q4

一時帰休期間中に休業日数が変更となった場合は、随時改定の対象となるのか。

A4

単に休業の日数が変更となった場合は、随時改定の対象とならない。

 

Q5

「一時帰休の状況が解消したとき」とは、どのような状態をいうのか。また、どのような場合に随時改定の対象となるのか。

A5

「一時帰休の状況が解消したとき」とは、固定的賃金が減額されず、その後も低額な休業手当等が支払われる見込みがない状態をいう。

また、低額な休業手当等が支払われないことが明確でなくても、現実に固定的賃金が減額されない状況が継続して3か月を超え、2等級以上の差を生じた場合は、一時帰休が解消したものとして随時改定の対象とする。

 

Q6

一時帰休の状況が継続している間に固定的賃金が変動した場合は、随時改定の対象となるか。

A6

随時改定は、固定的賃金の変動が報酬に反映された月を起算月として扱うこととしているが、一時帰休に伴う休業手当等が支払われた月に固定的賃金が変動した場合、その固定的賃金の変動が正確に報酬月額に反映されないため、一時帰休に伴う休業手当等が支払われなくなった月から起算して3か月の報酬を平均することによって、随時改定を行う。

 

Q7

通常の給与で標準報酬月額の決定又は改定が行われている者について、固定的賃金の変動があった月の翌月に一時帰休による休業手当等が支払われた場合、随時改定の対象となるか。

A7

随時改定は、固定的賃金の変動が報酬に反映された月を起算として、それ以後継続した3か月間(いずれの月も支払基礎日数が17日以上)に受けた報酬を計算の基礎とすることから、随時改定の算定対象月内に休業手当等を受けることとなった場合であっても、随時改定の対象とする。

 

<番外編、短時間労働者の算定処理>

短時間労働者の標準報酬月額の決定・改定について

 

Q1

標準報酬月額の決定・改定の算定の対象となる期間の月の途中に、被保険者の区分(短時間労働者であるかないか)の変更があった場合、当該月の支払基礎日数はどのように取り扱うのか。

A1

当該月の報酬の給与計算期間の末日における被保険者区分に応じた支払基礎日数により、当該月が算定の対象月となるかならないかを判断する。

 

Q2

標準報酬月額の算定の対象となる期間に、支払基礎日数(原則17日、短時間労働者は11日)を満たす月と満たさない月が混在する場合、どのように標準報酬月額を決定するのか。

A2

算定の対象となる期間に被保険者区分の変更があった場合は、区分の混在があっても、原則、一般の被保険者であるならば17日以上を、短時間労働者であるならば11日以上を算定の対象とし、対象となった月の平均で報酬月額を決定する。ただし、通常の労働者ではないものの、4分の3基準を満たす者(短時間就労者)については、従前のとおり、法定された支払基礎日数を満たす月がない場合、支払基礎日数が15日以上の月を算定の基礎とする。

 

 

執筆者:染野

 

関連コラム

士業必見!令和4年10月1日から個人事務所も強制適用に
令和2年5月29日に成立しました国民年金法等の改正により、「常時5人以上の従業員を使用する個人事業所」について社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用範囲が拡大されました。 本法改正により、令和4年10月1日より「常時5人以上の従業員を雇用…
被用者保険(厚生年金・健康保険)適用除外の取り扱いが変わります。
被用者保険(厚生年金・健康保険)適用除外の取り扱いが変わります。従来、健康保険、厚生年金保険の被保険者とされない人は、下記の表の通りとなっておりました。このうち、『2か月以内の期間を定めて使用される人』の取り扱いが変わります。令和4年10月…
従業員100名以上の企業は要準備!短時間労働者の社会保険適用拡大について解説します!
p; ≪法改正のポイント≫ 短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)適用について、現行では、『従業員数が常時500人超』の事業所を対象としていました(従業員数500人以下の事業所でも、労使で合意があれば社会保険に加入可能…
健康保険組合の電子申請が開始しました!
p; 2020年4月から特定の法人について義務化されていた社会保険の電子申請のうち、健康保険組合に対する手続きは除外されていましたが、11月より健康保険組合の電子申請も開始されました。 そこで、今回は4月から開始している社会保険…
二つの会社で勤務する場合の労働保険・社会保険の取り扱い
同時に二つの会社で勤務することになった時、労働保険・社会保険についてはどのように取り扱えばよいでしょうか? 今回は、こちらについてお話したいと思います。 p; (1)労災保険について 労災保険の保険料は、それぞれの会社が支払う…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。