お役立ちコラム

CSA社労士雑記 ~特定社会保険労務士についてのお話(1)~


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”特定”社会保険労務士ってなんだかわかりますでしょうか。



そもそも、社会保険労務士の認知度がそれほどでもないのに(?)、

その上“特定”なんてついていると...ですね、
 

社会保険労務士の管轄する業務のうち、

“特定のことだけしかできない社労士のこと”

と言われることもあるくらいです。
 

しかし、そうではないのです。

“特定”社会保険労務士はですね、

 

(1)社会保険労務士が、それまで行うことができなかった業務を行うための特別な研修を受講

(2)そのうえで、紛争解決手続代理業務試験に合格
 

という要件を満たした社会保険労務士にだけに付与される資格です。
 

と言うと、

“違和感がある”といった指摘が入りそうなので、きちんと言い直しますが、

 

必要な研修を修め、且つ、紛争解決手続代理業務試験に合格をすることで、当該業務を付記された社会保険労務士のこと

 

を、“特定社会保険労務士”といいます。
 

+++++

 

試験は記述式でして、社会保険労務士試験のマークシート形式とはまったく様相が違っていて、なかなかに難しい。

 

でも、社会保険労務士試験程の難易度ではなく、絶対に解答できないような難問奇問は、これまで出てきていません。

 

きちんと勉強していけば、結果がついてくる試験と言えるでしょう。

 

勉強する範囲は、憲法、民法、労使関係法、労働契約、労働条件、個別労働関係法制に関する専門知識、個別労働関係紛争解決制度、等について。

 

もともと、社会保険労務士は、社会保険各法のほか、労働基準法や安全衛生法、男女雇用機会均等法、パートタイム労働法など、

労働者の権利を守る分野もカバーしておりまして、

 

その知識を生かして、社会保険手続・給与計算のほか、

労務相談顧問等を生業とできる専門職です。

 

労働分野に限って言えば、

その役割は、労働トラブルを未然に防止するための助言や、リスクを回避するための規程作成、その他、福利厚生、退職金制度や評価制度の設計等を行うコンサルタント的な役割である

と個人的には解釈をしておりますが、

 

“特定”がつくと、もう一歩踏み込んだお仕事を行うことができるようになります。

 

例えば、

 

会社と労働者がなんらかの理由でトラブルを抱えたとします。

よくある話では、残業代未払いだとか、不当解雇だとか。

 

ある日突然、明日から会社来なくていいから、と言われたらどうしますか。

 

まずは、会社の直属の上司に話に行って、

それでもだめなら、人事部門の人に相談にいって、

結局丸め込まれて会社に行くことができなくなった、という事態は起こりうることでしょう。

 

何とかしなければならないとすれば、争うしかありませんが...

 

+++++

 

その方法として、もっとも認知度が高いところでは、

やはり“訴訟”ですね。

 

弁護士を頼り、会社を相手に訴えを起こす。

舞台は裁判所の法廷です。

 

数年単位の期間を要することも珍しくありません。

 

ですが、労働の現場は常に動いています。

数年間も争っている間に、取り残されてしまうし、

労働者側にとっては、金銭面でもの時間の面でも、とても負担が大きい方法です。

 

そこで、もっと簡易的に解決できないか、ということで登場したのが、

労働審判制度

 

これは簡単に言えば、回勝負

※4回となることもあります。

 

3回だけ開かれる簡易的な裁判のようなもので、決着をつける。

全国の地方裁判所が舞台となります。

※場所は地方裁判所ですが、法廷ではなく、会議室のようなところで行われます。

 

裁判と比べ、圧倒的時間短縮を実現していますし、手続き自体も簡易的です。

 

そのため、弁護士を付けないで自分一人で争うことも可能であり、

裁判と同様に、白か黒かの決着がつくうえ、費用もそれほど掛からない。

 

これは、労働者にとってはかなり利用しやすい制度といえるでしょう。

 

+++++

 

さらに、もっと簡易的に決着がつかないか、

 

たとえば

”残業代未払が数万円程度で、会社と争いになるのはちょっと”

といった場合にも利用できる簡易的な方法が用意されています。

 

それが”あっせん”です。

 

ここからが、紛争解決手続代理業務を付記されている、

特定社会保険労務士のお仕事ですね。

 

特定社会保険労務士は、この紛争手続きについて、代理で業務を行うことが認められています。

 

あっせんの大きな特徴は次の4つ。

 

(1)白黒つけずに、和解で解決を目指す。

(2)1回勝負で折り合いをつける。

(3)相手方と顔を合わせないで良い。

(4)完全非公開

 

これは、なかなか良い・・・・と個人的には思います。

 

勝ち負けではなく和解をめざすということ、

また、対面もしないということで“遺恨が残りにくい”ことは、精神的にも

負担は軽減されることでしょう。

 

1回勝負で時間がかからないうえ、労働局であれば、費用は無料

 

争いの舞台は、労働局や民間ADR機関で行われます。

※ちなみに全国都道府県にある、社会保険労務士会も民間ADRですね。

 

デメリットは、あっせんへの参加が、当事者の自由であるということ。

つまり、あっせんの申請をしても、相手方が乗ってこなかったら、成り立たないのですが

多くの場合、問題はないと思います。

 

労働紛争にだけ言えることではありませんが、

大きな話になる前に、話し合いで決着をつけることが、双方にとってメリットがあるので、

あっせんは成立しやすい、というわけです。
 

CSA社労士雑記 ~特定社会保険労務士についてのお話(2)~へ続く)

 

執筆者:立山

 

 

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