お役立ちコラム

健康診断に基づく再検査費等の医療費控除について

会社で年1回、健康診断を受けています。オプションを自己負担で行なった診断の内、腫瘍マーカーの数字が異常値となり、「要再検査」とされました。その為、大きな病院で再検査を受けたのですが、最終的には「異常なし」との結果でした。この場合、①オプションを自己負担で行なった健康診断費用及び②再検査費用は医療費控除の対象となりますか?

結論的には、いずれも医療控除の対象とならないと考えられます。

まず、①についてです。医療費控除は基本的に治療等で体の悪い部分を回復したり悪化を防ぐための費用が対象となります。従って健康診断については、原則として対象となりません。ただし健康診断で重大な疾病が発見され、引続きその疾病の治療をした場合には、健康診断料も医療費控除の対象となります。本件では最終的に異常は無かった為、医療費控除の対象とはなりません。

続いて②の費用についてです。②は診断結果が思わしくなかった事を受けて行ったもので、悪い所があるから病院に行ったと思う方もいるかと思います。しかし再検査は、あくまで健康診断だけでは判断できないので、健康診断を補完するために行った二次的な診断と考えるべきものです。このため再検査についても、基本的に①と同様の取扱いをする事になり、医療費控除の対象外となります。今回のケースでは当てはまりませんが、もし再検査の結果、異常が発見され、治療を行った場合は、①②のいずれも医療費控除の対象とする事ができます。

<参考文献等>

国税庁 タックスアンサー No.1122 医療費控除の対象となる医療費

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1122_qa.htm

関連コラム

令和5年度税制改正 NISA制度の抜本的拡充・恒久化
はじめに 令和5年度税制改正の目玉の一つとして、NISA制度の抜本的拡充・恒久化が公表されました。NISA制度自体は以前から存在した制度で、一定金額の範囲内で投資によって得られた利益が非課税となる制度になっています。従来のNISA制度には一…
確定申告の基本
はじめに確定申告の受付時期がやってきました。確定申告は全ての人が行わなければならないわけではありませんし、会社員の方等は年末調整を行っているから自分には関係ないと思われるかもしれません。しかし確定申告をすることによって納めすぎた税金が戻って…
退職所得控除額の計算方法の注意点-2回目の退職金の支給を受けた場合-
今回は、転職に伴い退職金の支給を複数回受けた場合の退職所得控除額について説明します。 p; ■ 基本的な退職所得控除額の計算方法 p; 退職所得の金額計算に必要な退職所得控除額は、退職金の支給を受けた会社での勤続年数に応…
歯列矯正は医療費控除の対象となるか
今回は所得税の確定申告における医療費控除のお話になります。 医療費控除の対象となる医療費は、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。 では「水準を著しく超える」とはどのようなものなのか。保険…
青色申告(個人)
青色申告制度の概要 p; 個人事業主の方は1年間(1月1日から12月31日までの間)に生じた所得金額を正しく計算し、申告するためには、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を帳簿に記録し、取引に伴って発生した書類を保存してお…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。