お役立ちコラム

棚卸資産における旧製品の評価損の取扱い

今年社運をかけた新製品を発売します。新製品発売直後に決算をむかえるので棚卸をおこないますが、旧製品の評価はどのようになりますか??

 新製品が発売されると旧製品がそれまでの価格で売れなくなることはよくあり、その評価が下がった部分が評価損となります。では棚卸の際にこの評価損をどうするかですが、法人税法33条1項では「資産の評価替えをしてその帳簿価額を減額した場合には損金の額に算入しない」と規定されています。

 ただし、例外的に「棚卸資産が著しく陳腐化」した場合であれば評価損を損金にできると法人税法施行令68条1項1号ロに規定されています。

 そして、法人税法基本通達9-1-4は「著しく陳腐化」した例として、「当該商品と用途の面でおおむね同様のものであるが、形式、性能、品質等が著しく異なる新商品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと」というケースを挙げています。

 以上より、社運を賭けた新製品の発売により旧製品を値下げしなければ売れないような状況であれば、その値下げ部分の評価損は損金にできるということになります。

 もっとも実際の判断には困難な部分もありますので、悩まれる場合は専門家に確認してみてください。

 

<参考文献等>

法人税法基本通達9-1-4

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_01_02.htm

 

(掲載日:2016年9月8日)

関連コラム

収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!
収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!「収益認識に関する会計基準」が、大会社・上場会社において2021 年4月1 日以後開始する事業年度の期首から強制適用になります。(中小企業の適用は任意です)当該の収益認識基準に沿って会計処理を行…
令和4年度税制改正のポイント(グループ通算制度以外の法人課税)
【令和4年度税制改正のポイント】今回は、令和4年度税制改正のポイントの中で、グループ通算制度以外の法人課税に特化して次に掲げる項目について、みていきたいと思います。※グループ通算制度については、別途掲載を予定しています。 1-1.賃上げ促進…
収益認識に関する会計基準と工事契約
業会計基準委員会から、平成30年3月に『収益認識に関する会計基準』が公表され、令和3年4月1日以後開始する事業年度より強制適用となります。以前に、『収益認識に関する会計基準』によって収益認識がどのように構成されていくのかについてまとめました…
電子取引を電子データ保存する義務化は2年猶予で遠のいたか?
電子取引義務化は遠のいたのか?令和4年度(2022年度)税制改正大綱で2年間の猶予が決まる!電子取引を電子データとして保存する義務に向かっていたが・・・経理のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の現場において、今年は夏場から令和4…
法人税とは?対象となる法人や税率などの基礎知識を解説!
法人税とは?課税される法人の範囲法人税は、法人の事業によって得られた所得に対して課される税金です。法人と一言でいっても、法人の種類は様々で、法人の目的や特性により、法人税が課される法人と課されない法人に区分されます。法人税法における法人の区…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。