お役立ちコラム

退職給付会計基準適用時の繰延税金資産の回収可能性について

当社は「退職給付に関する会計基準」を適用していますが、未認識数理計算上の差異の金額が大きいことから、連結財務諸表に計上する「退職給付に係る負債」と個別財務諸表に計上する「退職給付引当金」の金額が大きく異なり、したがって連結財務諸表と個別財務諸表で将来減算一時差異の金額が大きく異なります。この場合における繰延税金資産の回収可能性の考え方を教えてください。

個別財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判断と、連結財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判断は、未認識項目を連結貸借対照表上で負債として即時認識するか否かにより将来年度の課税所得の見積りが変わるものではないため、同じになると考えられます。

また、連結財務諸表における「退職給付に係る負債」に係る一時差異に対する繰延税金資産の回収可能性の判断は、未認識数理計算上の差異を連結貸借対照表上で負債として即時認識するか否かによって影響を受けるものではないと考えられます。

このため、繰延税金資産の回収可能性の判断において、連結財務諸表における会社分類(例示区分)と、個別財務諸表における会社分類(例示区分)は変わらないものと考えられます。

<参考文献等>

日本公認会計士協会「税効果会計に関するQ&A」Q15

日本公認会計士協会 監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」

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