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事故による自動車の修理費用についての雑損控除の適用可否

先日、事故により自動車が破損し、修理費用を支払いました。車両保険には入っていません。支払った修理費用を、「雑損控除」として申告することはできますか。

修理費用を「雑損控除」とするのは難しいと考えられます。

雑損控除は,災害又は盗難若しくは横領、いずれかの原因により資産に損害を受けた場合に適用できます(所得税法72条)。ここで、交通事故を「災害」とすることができるかが問題になります。

 この点、所得税法では「災害」について「…自然現象の異変による災害及び鉱害,火薬類の爆発その他の人為による異常な災害 …生物による異常な災害」と定義されています(所得税法施行令9条)。「人為による異常な災害」の解釈について裁決では「自然界に生じた天災と同視すべき劇的な過程を経て害を被る事象をいうものと解するのが相当」として,限定的に解釈すべき旨が示されています。(平成21年2月16日裁決)

 したがって、自らに過失がある場合はもちろん、当て逃げやいたずらによる破損だったとしても「人為による異常な災害」とまでは言い切れず、雑損控除として認められるのは難しいといえます。

<参考文献等>

国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」

http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1110.htm 

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