お役立ちコラム

国民年金の前納期間中に就職が決まった場合

平成26年2月に会社を退職し、国民年金保険料の2年前納を申請しました。現在就職活動中ですが、前納期間の中途で就職が決まった場合、何か手続きが必要なのでしょうか。ちなみに、前納保険料を含め、支払った年に全額社会保険料控除を行う予定です。

国民年金保険料の2年前納は2月末までに申請をすることで、毎年4月から2年間の保険料を前納することが可能になる制度です。ご質問のケースでは、平成26年4月から平成28年3月までの保険料について前納されているものと思われます。


国民年金の被保険者が、前納期間中に就職した場合、厚生年金保険料と国民年金保険料の二重払いが発生します。そこで、二重払いとなった保険料について、返金手続きを行うのと同時に、所得税法上の社会保険料控除についても調整を行う必要がある場合があります。

(1)前納していた保険料の還付について
重複した国民年金保険料については、日本年金機構への手続きを行うことで還付されます。

(2)所得税の修正申告について
国民年金保険料は確定申告をすることで、社会保険料控除として所得控除されます。そのため、すでに前納していた保険料を全額控除していた場合は、過大に控除していたことになるため、修正しなければなりません。就職の時期により行うべき手続きが変わります。以下、ご参考ください。

①26年11月に就職していた場合(控除前)
控除前になりますので、重複した保険料(26年11月~28年3月)17か月分を差引いたうえで、年末調整を行えばよいため、別途手続きをする必要はありません。

②26年中にいったんパートなどに就職したのち、27年1月に就職した場合

パート先で年末調整を行い、その中で前納保険料を含めて全額控除を行った場合は、還付される27年1月から28年3月までの15か月間を控除しすぎた金額として、27年2月16日から3月16日までの期間内に確定申告をしなければなりません。

③26年中は就職せず、27年4月に就職した場合

26年内にこのまま就職しなかった場合は、26年分の所得について、確定申告を行う必要があります。その際に、前納保険料も含めて全額控除を行っていた場合は、還付される27年4月から28年3月までの12か月分を控除しすぎた金額として修正申告を行う必要があります。

<参考>
2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除について(国税庁Webサイト)
http://www.nta.go.jp/gensen/nenkin_zennou/index.htm

関連コラム

源泉所得税の「納期の特例」総まとめ!
■ 源泉所得税の納付 p; 自社の従業員に給料を支払うときや弁護士、税理士等に報酬を支払うときには報酬額から源泉所得税を控除して、その控除した源泉所得税を税務署に納める必要があります。この源泉所得税の納付期限は原則として、支払をし…
退職所得控除額の計算方法の注意点-2回目の退職金の支給を受けた場合-
今回は、転職に伴い退職金の支給を複数回受けた場合の退職所得控除額について説明します。 p; ■ 基本的な退職所得控除額の計算方法 p; 退職所得の金額計算に必要な退職所得控除額は、退職金の支給を受けた会社での勤続年数に応…
日本とデンマークの新租税条約(源泉所得税)
「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約」(以下「新条約」といいます。)が平成30年12月27日に発効し、源泉所得税については平成31年1月1日から適用が開始されること…
派遣会社への業務委託料、源泉徴収は必要?
この度、弊社で人材派遣を利用することになりました。派遣社員を雇用する場合、派遣会社に支払う業務委託料に対して源泉徴収の必要はあるのでしょうか?
外国法人に対する原稿料の支払いをする場合、源泉徴収は必要?
非居住者の方に、会社のパンフレットに使用する原稿を作成してもらったので対価として原稿料を支払いました。この場合、源泉徴収しなければならないのでしょうか。

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。