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Q.1 IFRSは、どこで作成されているか、日本ではどこが対応しているか
A.1 IASB(国際会計基準審議会)の機構は米国デラウェア州に組織されたIASCF(国際会計基準委員会財団)の下におかれた評議員会、IASB、SAC(基準諮問会議)及びIFRIC(国際財務報告解釈指針委員会)の4つの主要組織から構成されています。IFRS(国際財務報告基準)は、これらの組織により、正式なデュー・プロセスを通じて開発されています。
日本では、09年7月3日にASBJ(企業会計基準委員会)がIFRS対応会議を発足しており、そこでIFRSを我が国に導入するに当たっての各般の重要課題について解決、推進等の方針、戦略等を立案し、実務対応委員会での検討及び関係機関及び団体の対応を要請しています。
A.2 昨今では、企業活動や資本市場のボーダレス化はIT革命の追い風を受けて、急速かつ飛躍的に進展しています。そのような状況の中で、ビジネス社会における共通言語ともいえる会計に関して、国際的に統一した会計基準を設定し、国際比較を可能とするような世界共通の単一のモノサシ、つまりグローバル・スタンダードを必要とする段階に達しているのです。
A.3 2009年6月30日の企業会計審議会・企画調整部会の資料「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」では、日本におけるIFRS(国際財務報告基準)の任意適用の時期が、2010年3月期の年度の財務諸表からとされています。また、IFRSの強制適用の判断時期はとりあえず2012年を目処とするとされており、強制適用すると判断した場合には、2015年又は2016年から適用が開始されることになります。
Q.4 コンバージェンスとは何ですか? アドプションとは何ですか?
A.4 IFRS関連で用いられる「コンバージェンス」とは、自国の会計基準をIFRSと同等と認められる程度まで類似化することを目的として改訂することをいいます。
また、「アドプション」とは、自国の会計基準を捨て、IFRSを全面適用することをいいます。
近年における、世界の会計基準を統一的なものにするという動きに対して、日本は当初、コンバージェンスにより対応しようとしていました。棚卸資産の評価やリース取引の処理方法に関する基準の改訂が行われたのもこのコンバージェンスの一環です。しかし、アメリカがアドプションにより対応することを示唆したため、現在日本でもアドプションへ向けた取り組みが行われています。具体的には、グローバルな市場で取引されている上場企業の連結財務諸表に対してIFRSを強制適用することを2012年に判断しようとしています(実際に適用されるのは2015~2016年)。
アドプションへ向けた取り組みを行うのと並行してコンバージェンスを継続することも決まっており、今後も日本の会計基準の改訂は続くことが予想されます。
Q.5 IFRSに準拠した財務報告書もXBRLで開示する必要があるのですか?
A.5 まず、XBRLとは、財務報告用のデータを作成、利用する際に用いられるシステム上の言語をいいます。日本では、現在、上場している企業の開示書類がXBRLにより公表されています。
IFRSに準拠した財務報告書を作成するようになった場合、どのような言語で作成、利用されるのかという問題がありますが、現在、IFRS対応のXBRL(タクソノミ)が開発中であることから、IFRSに準拠した財務報告書もXBRLにて開示されるものと思われます。
Q.6 IFRSを導入した場合、企業にどのような影響がありますか?
A.6 準拠する会計基準を日本の会計基準からIFRSへと変更した場合、その影響は企業の業種・業態、規模等により差はあるものの、以下のような影響が生じることが考えられます。
(1)会計方針の策定作業
日本の会計基準は「細則主義」といわれ、遵守すべきルールは、金額(○○万円以下は適用除外)や数値(○%以上は原則適用)を用いるなどして、詳細に定められているため、企業はそれに従っていれば適正な処理を行うことができます。
一方、IFRSは「原則主義(プリンシパル・ベース)」といわれ、遵守すべきルールは概念的な記述にとどまっており、具体的な処理方法の決定は各企業の裁量に任せています。このため各企業は、IFRSを適用するにあたり、自社の業種・業態、規模、管理方法等を勘案しながらこの概念に則する自社の会計方針を策定する必要があります。
(2)経営方針の変更
IFRSに準拠して財務報告書を作成することによって、日本の会計基準に準拠して作成した場合と比べ、経営指標(総資産額や利益額など)や財務比率(自己資本比率や売上高利益率など)が悪化したり、また新たに用いられる経営指標(包括利益など)が同業他社に比べて低い水準になってしまったりと、現在の経営方針とIFRSに準拠した財務報告書がミスマッチを起こす可能性があります。
よって、IFRSを適用した場合の財務数値等に与える影響を検討する必要があり、その結果次第では、経営方針の変更を検討することも考えられます。
(3)取引先との契約内容の変更
日本の会計基準とIFRSの基準では、費用収益の認識のタイミングや測定方法に相違があったり、資産計上する条件が違っていたりと種々の相違が見られます。このため、IFRSに準拠した処理を行うにあたり、契約書に明記すべき項目が現状明記されていなかったり、企業の経済的実態を適切に開示するために契約条件を変更する必要が生じたりする可能性があります。また、取引先からそのような変更を求められる可能性もあります。多数の取引先と契約を締結している企業にとってはこれらの変更にも相当のコストが発生するものと思われます。
(4)従業員の教育費用、増員による人件費等の増加
日本の会計基準とIFRSの基準の差異は少なくないため、企業として、一定のコストをかけてIFRSの内容を習熟する必要があります。従業員をセミナーに参加させる、IFRSに精通した人材を採用する等の追加的なコストが発生する可能性があります。
(5)内部統制の変更・追加
IFRSに準拠するために、業務プロセスの追加や変更、作成する書類の追加等、内部統制へも影響が及ぶことが考えられます。
(6)会計システムへの追加投資
現在、IFRSに準拠して開示することとなる財務書類は連結財務諸表に限られている一方、税法や会社法に基づいた財務書類は日本の会計基準に準拠して作成する必要があることから、IFRSへの対応策として、日本の会計基準に準拠して作成した個別財務諸表を組替えてIFRSに準拠した連結財務諸表を作成する、または、二重帳簿の形式をとり、連結財務諸表用の個別財務諸表と税法・会社法用の個別財務諸表を別個に作成する、といった方法が考えられます。規模が比較的小さい企業であれば、組替作業をスプレッド・シートで行うことも可能かと思われますが、そうでない場合には、IFRSに対応した会計システムへの投資の必要性が生じることも考えられます。
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