CSアカウンティングは、辻・本郷税理士法人のグループ企業です。

ストックオプションとは、役員・従業員に付与される自社株購入権のことを指す。事前に決定される権利行使価格で権利行使期間に一定数の自社株を購入する権利。業績が向上して株価が上昇すると役職員の利益につながるため、効果的なインセンティブ・プランとしての活用が広く行われている。
株式の所有権が無いが、実際の株式と同額の「ペーパー株式」を付与し、取得者は将来の一定期日にこのペーパー株式の価値の増加分に対応した支払いを受けることができるインセンティブ・プランである。
特定の長期業種目標の達成に対して報酬を与える制度。各業績目標の測定期間の初めに付与され、期間の終わりに業績目標の達成度合いに応じた報酬を得る。
パフォーマンス・ユニット・プランと類似しているが、これは報酬額決定の単位が株価となる。
企業が取得し保有する自己株式のことをいう。保有した自己株式は、無期限に保有が認められ、さらに取締役会の決議により、新株発行に準じた手続によって再度放出することも、消却することも可能である。
新株式の発行による資金調達を指す。借入や普通社債の発行と違い、自己資本の充実につながるという利点を持つ。
第三者割当増資とは、既存の株主以外に新株引受権を与える増資方法を指す。公正な発行価額による新株発行が原則であるため、有利な条件の場合には、株主総会の特別決議による承認が必要となる。未公開会社は、時価がないため、公正発行価額の評価が困難であるため、公認会計士に評価を依頼することが必要である。 なお、非公開会社は、定款に株式譲渡制限の定めをしているため、公正な条件による第三者割当増資であっても株主総会の特別決議による承認が必要となる。
株主割当増資とは、既存の株主に新株引受権を与える増資方法を指す。既存株主の持株比率が変動せず、既存株主の自益権に影響を与えない増資方法であるため、発行価額は、何円でもかまわない。
不特定多数の投資家に対して同条件で株式を発行することを指す。未公開会社であっても、証券取引法の規定に抵触する公募増資は、過去2期の監査証明を必要とする有価証券届出書の提出が求められる。過去2期に遡った監査は、通常不可能であるため、監査を受けていない企業は、証券取引法の規定に抵触しない範囲で公募増資を計画しなければならない。
利益配当などの自益権や議決権等の共益権について、異なる扱いを定めた複数の株式を発行することができ、これらを種類株式という。新会社法では、種類株式の条件設定の規制がほとんどなくなり、種類株式の活用可能性が格段に広がっている。
日本円(「邦貨」と呼ぶ。)以外の通貨(「外貨」と呼ぶ。)で表示される取引をいう。
例えば、海外に商品を輸出してアメリカドルで販売した取引は、外国通貨での取引になるので、外貨建取引となる。
将来の一定時点における外国為替の売買を予約する契約。例えば、3ヶ月後に10,000ドルを120円/ドルで売ることを銀行と契約した場合、それを売予約といい、逆の場合は、買予約という。
企業が持っている外貨建債権や債務の大きさをあらわす概念として使われる。当然大きければ為替リスクは増加し、少なければ為替リスクは減少。
企業が自由に使うことのできるキャッシュフロー(お金)のこと。本業のキャッシュフローから現状維持に必要なキャッシュフローを差し引いたものと位置づけられる。
つまりフリーキャッシュフローがプラスであれば資金繰りが良好であり、マイナスであれば厳しい状況であるといえる。
企業の現金収支状況を示す財務諸表で、株式公開企業においては、連結キャッシュフロー計算書の作成が義務付けられ重要性が増す。短期資金計画を立てる際に参考資料として活用することが望ましいとされている
高い成長性が見込まれるが財務基盤が強固でないベンチャー企業を受け入れる株式市場を指す。東証マザーズ、大証ヘラクレス、ジャスダックの3市場が代表的なものであるが、最近は名証ヘラクレスも新規上場数が3市場に匹敵するレベルにきている。他に札証アンビシャス、福証Q-Boardがある。
米国店頭株式市場(ナスダック)を運営する全米証券業協会(NASD)とソフトバンクが1999年6月に大阪証券取引所内で開設した株式市場「ナスダック・ジャパン」が、2002年10月に営業を停止したのち、大阪証券取引所に引き継いで設立されたベンチャー市場。上場申請時に、形式(数値)基準を細かく分けることで、多くの企業に上場の可能性を広げた。ナスダックの日本進出は、東証マザーズ等の今日のベンチャー市場の創設の契機となった。
ベンチャー企業を対象に、東京証券取引所が1999年11月に開設した株式市場を指す。公開基準は東証1部・2部などに比べて緩やかであり、成長性があれば歴史・財務体質に因らない公開が可能といった特徴がある。
資金提供や経営に関するアドバイスといった形でベンチャー企業家を支援する個人投資家のこと。エンジェル税制とは、エンジェルの投資に関する損失を3年間繰り越せる優遇税制のことを指す。
将来性はあるが、歴史が浅く経営基盤も脆弱なため融資を受けにくい新興企業などに対し、株式取得などによって資金を供給する投資会社(または投資事業組合)のこと。
短期金利や株価収益の分散が一定であるといった仮定を織り込んだオプション価格の算定モデル。オプションプライシングを簡易化し、デリバティブ取引の普及に貢献した。
最適値を探索するための方法の一つ。インプライドボラティリティの算出のためなどに使われる。
オプションの価値を構成する価値の一つ。権利の満期日までの期間を価値として換算する価値。
原資産の現在の価格をみて、行使した場合にいくらの損益があるのかという価値。
オプション取引において、対象とする証券のこと。
平均と分散を変数としてもつ代表的確率分布。別名ガウス分布。
金融工学における主張であり、株価を初めとする市場価格の変動には規則性がないということを表す用語。
数値の散らばり具合を意味する用語。市場で実際に取引されたオプション価格が、オプションプライシングモデルの解になるよう、他の変数を入れて逆算して求めるインプライドボラティリティと、原資産の過去の値動きを基に算出された収益率の変動性であるヒストリカルボラティリティがある。
ある金融資産の投資収益率が、マーケットの収益率に対してどの程度反応するかを表した係数を指す。ある金融資産とマーケットの共分散をマーケットの分散で除したもの。
有価証券や通貨などの金融資産(原資産)の取引から派生し、原資産の現物価格の変動によってその価格が決定される商品を指す。
企業会計基準は、企業会計の実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したものであって、必ずしも法令によって強制されないまでも、すべての企業がその会計を処理するに当って従わなければならない基準である。従来、金融庁の企業会計審議会が、企業会計基準を制定していたが、国際会計基準の急速な動きに対応するため等の目的で、2001年に財団法人財務会計基準機構が設立され、その中に設置された企業会計基準委員会が、企業会計基準の制定を担っている。
金融商品の会計処理を定めた会計基準。金融商品を時価で評価する取り扱いが採用されたことから、現在の会計基準は、時価主義と誤解されがちであるが、現在の会計基準はあくまでも、取得原価主義を採用しており、金融商品に限って時価評価するのが現行の会計の考えである。
企業の所有する固定資産の価値が大幅に下落している場合、帳簿価格を引き下げ、価値下落分を特別損失に計上する会計処理。対象資産には土地・建物などの有形固定資産のほか、無形固定資産も含まれる。
2006年3月期からの完全実施が決まっているが、一部に延期を求める声もある。
具体的には、以下5点のことを言う。
1.独立したキャッシュフローを生成する最小の単位に資産をグルーピングする
2.営業活動から生ずる損益またはキャッシュフローの継続的な赤字、使用方法の著しい変化、市場価格の著しい下落などを「減損の兆候」として把握する
3.減損の兆候がある資産または資産グループについて、割引前キャッシュフローと帳簿 価額を比較して、減損損失を認識するかどうかを判定する
4.帳簿価額を回収可能価額(使用価値と正味売却価額のいずれか高い金額)まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失とする
5.取得原価から減損損失を控除した金額をB/Sに計上し、減損損失を特別損失としてP/Lに計上する。
2006年6月以降、付与するストックオプションについて、公正価値に基づく費用認識を求める会計基準。従来、無償の給与として利用していたストックオプションは、無償ではない給与としての認識が求められる。ストックオプションの会計基準の適用に伴い、発行を控える企業もあるが、一定水準の株価水準に下落したら、権利が消滅する等の条件設定によりストック・オプション費用をコントロールすることは可能であり、インセンティブプランとして活用する意義はこれからも大きい。私どもはこれらのコンサルをCSOとしてサービス提供している。
収益を実現の時点で認識することであり、2つの要件を満たす必要がある。
① 財貨又は用役の移転=商品の引渡し等
② ①に対する現金等価物の取得
売上の計上基準には概ね次の3つ方法があり、どの方法を採用するかについては、その会社の実情に適したものを選ぶことが出来るが、継続して適用する必要がある。
①出荷基準
商品等を実際に出荷(発送)した日をもって売上に計上する方法。
②引渡基準
相手先へ商品等を引渡したという事実をもって売上に計上する方法。
③検収基準
相手先へ納入された商品等の数量・品質等を検査・確認した時点で売上に計上する方法。
ファイナンス・リースとは、リース期間の中途で契約を解除することができないこと(中途解約不能)、リース会社がリース物件を取得・維持するに必要なコストのほぼ全額をユーザーが負担すること(フル・ペイアウト)という2つの要件を満たすリースのこと。
オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースをいう。すなわち、中途解約不能とフル・ペイアウトのいずれかの要件を満たさない場合である。オペレーティング・リースは、航空機や自動車など中古市場が整っていることが前提となっている。
発注から代金支払までの流れをいう。購買業務は企業にとって根幹をなす業務のひとつとなっている。
販売することを目的とした、商製品、半製品や仕掛品、製造用の原材料のことをいう。
棚卸資産の仕入、売上を把握し、棚卸資産の残高に関する数量と金額を管理すること。
決算などに商品、材料等の在庫の種類、数量、価額を調査し、評価することをいい、評価した金額は損益計算書の売上原価や貸借対照表の棚卸資産などに反映する。
品切れを起こさず、過剰な在庫を持たない状態を言い、必要とする商品等を必要な時に、必要な数量だけ、必要な所に供給できるような管理のことをいう。
減価償却とは、固定資産(土地を除く)の取得価額を耐用年数に配分し、毎年費用化していく手続きのことを指す。
固定資産はその金額が大きく、又その効果はその固定資産の耐用年数にわたって実現されていくものであることから、費用収益対応の原則に従い購入時点で一括費用計上するのではなく耐用年数にわたって費用配分するというものである。
定率法は帳簿価額に一定割合を乗じた金額を減価償却費として費用化する方法で、早期に多額の減価償却費を計上することとなる。
定額法とは、取得価額に一定割合を乗じた金額を減価償却費として費用化する方法で、毎期の減価償却費は一定となる。
月次決算とは、会社法などの規定による期末決算とは別に、予算実績の比較、前期との業績比較など、経営判断に必要な情報を得るために月々行われる決算のこと。
連結決算とは、支配従属関係にある2以上の会社を単一の組織とみなして、親会社が子会社の財務諸表を結合することにより、企業集団全体の財政状況などを報告するために行われるもの。
連結パッケージとは、公開企業など連結財務諸表を作成する必要がある会社の連結決算用のデータを収集するためのソフトである。
株式を証券取引所に上場、公開などをしている会社は、金融庁に報告書の提出が義務付けられている。その報告書が有価証券報告書である。
有価証券報告書は主に第一部、第二部で構成されている。第一部の企業情報がメインで構成されている。この、第一部は大きく以下の区分に分かれている。
第1 企業の概況
第2 事業の状況
第3 設備の状況
第4 提出会社の状況
第5 経理の状況
※上記のうち、監査人の監査証明を受けるのは、第5の経理の状況の部分となる。
金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システムの通称である。
現在、有価証券報告書の提出はオンラインにより、提出を行い、このEDINET上で、各社の有価証券報告書を閲覧できる仕組みになっている。
債権の貸倒れに備えて、その予測される損失額について計上する引当金のことをいう。 債権を大きく3つの区分(一般債権・貸倒懸念債権・破産更正債権)に区分して、それぞれの区分に応じた引当率(貸倒実績率)を債権の残高に乗じて引当金額を算出する。
翌期に支払う賞与のうち、当期の労務提供に対応する金額を見積もり計上する引当金。 賞与の基準となる支給対象期間などを基準に賞与の見積額を計算する。
従業員の退職に備えるため、期末において発生していると認められる退職金の金額を計上するもの。 退職金の支給形態は、主に一時金による支給部分と企業年金による支給部分があるので、会社の退職金制度によって、それに基づく計算方法を採用する。
海外の株主や投資家に対して情報を提供するために作られる報告書。作成の仕方は会社の裁量で決められる部分が多い。
消費税の納付税額は、原則として次のように計算する。
(課税売上高)×4%-(課税仕入高)×4%
しかし、その課税期間の基準期間における課税売上高が5千万円以下で、簡易課税制度選択届出書を事前に提出している事業者は、簡易課税制度の適用を受けることができる。
簡易課税制度とは、実際に支払った課税仕入れ等の税額に代えて、預かった消費税額に業種に応じたみなし仕入率を乗じた金額を仕入税額控除とする方法をいう。
法人税法上の寄付金には、見返りを期待しない贈与や無償の供与だけでなく、資産を低額で譲渡した場合や債務免除をした場合も対象となるので、注意が必要である。
法人税法上の交際費とは、事業関係者に対する接待、供応、慰安、贈答等のために支出する費用をいうので、交際費以外の勘定科目で処理されていても税務上は交際費に該当するものがある。
尚、平成18年度税制改正により、交際費のうち1人あたり5,000円以下の飲食費については、交際費課税の対象から外れ損金算入可能となった。ただし、飲食費にかかる領収書などの書類を適切に保存しておく必要がある。
法人税では、減価償却について定められた償却方法及び耐用年数に基づいた償却限度額がある。会計上の減価償却費(本来、資産計上すべきものを費用処理した金額を含む。)が限度額を超過する場合は、税務調整の対象となるので、注意が必要である。
法人税では、貸倒引当金等を除き、原則的には引当金等の見積り計上に基づく費用は損金に算入しない。
従って、賞与や退職金の見積額を未払金等の科目で処理しても損金には算入しないので、注意が必要である。
決算調整事項とは、確定した決算において経理された場合に限り税務上も認められる事項で、減価償却費や貸倒引当金の繰入が代表例である。
申告調整は、申告書への記載を条件に適用が認められる「任意的申告調整事項」と申告書において必ず調整しなければならない「必要的申告調整事項」とに区分されている。
任意的申告調整事項の代表例は、受取配当等の益金不算入や所得税額控除であり、必要的申告調整事項の代表例は、還付金等の益金不算入や法人税等の損金不算入である。
税効果会計とは、企業会計上の収益または費用と課税所得計算上の益金または損金の認識時点の相違等により、企業会計上の資産または負債の額と課税所得計算上の資産または負債の額に相違がある場合において、それらの相違に係る法人税等の額を適切に期間配分することを目的とする会計上の手続のことである。
会計上の資産・負債の金額と税務上の資産・負債の金額との差異をいい、税効果会計の対象となるもの。
一時差異のうち、差異が解消する期の課税所得を減額する効果を持つものをいい、具体的には減価償却超過額、未払事業税、繰越欠損金等が該当する。
一時差異のうち、差異が解消する期の課税所得を増額する効果を持つものをいい、具体的には利益処分による特別償却・圧縮記帳等が該当する。
企業グループを一つの納税単位として申告納付する制度で、平成14年度の税制改正において初めて導入された。
コンピュータを使用し、銀行などの金融機関のサービスを利用することをいい、ファームバンキングでは、預金の残高照会、入出金照会、口座振込、振替などの基本的なサービスの他、複数銀行への総合振込や給与振込、個人住民税納付、外国為替送金などの機能が利用できる。
振り出した支払手形の決済が困難と思われ、手形所有者との交渉で期限の延長を受け入れてもらったときに、支払期日の延びた手形を振り出し、旧手形を廃棄することをいう。
実際の振出日より先の日付を振出日として記載した小切手。小切手を振り出すときに小切手金額だけの資金の準備はないが、何日か後には資金の手当が見込まれるという場合、その日になってから取り立てにまわしてもらう約束で、振出日を実際の振り出しの日よりも後の日付にして振り出す。
専門会社が企業の財務状況を分析し、債務の返済能力を簡単な記号(AAAなど)で示したもの。格付会社にはいくつかあるが、ムーディーズやスタンダード&プアーズが有名。格付けは債務の返済能力を示したものであるため、投資した際の安全性の指標になるもの。したがって、格付けランクの高い会社が必ずしも成長性の高い企業であるとは限らない。
大口株主や会社関係者などが特別な立場を利用して会社の内部情報を知り、この情報の公表前に株式の売買取引をおこなうこと。このようなことは一般投資家との不公平が生じるため金融商品取引法で禁止されている。投資決定・実行に当たってはインサイダー取引に該当しないか十分な注意が必要。インサイダー取引に違反した場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科せられることとなっている。
個別の金融資産に投資するリスクを回避し安定した収益を獲得するため、収益とリスクの分散を図ることを目的として行う分散投資による資産構成をいう。
総平均法は同一の銘柄ごとに、期首の取得価額の合計額と期中に取得した取得価額の合計額を総数量で除して平均単価を計算する方法。この方法は期末にならないと平均単価を計算できない欠点がある。
移動平均法は同一銘柄を取得するごとに、その取得価額と残高金額を合計し、取得数量と残高数量の合計で除して新しい平均単価を計算する方法である。
将来取引する債券や株式等の取引価格を現時点で予約する取引をいう。
将来一定時点で債券や株式等を買う権利(コールオプション)もしくは売る権利(プットオプション)を売買する取引をいう。
資金の支払いや受取を交換する取引をいう。固定金利と変動金利とを交換する金利スワップなどがある。
借り入れる側が銀行宛の約束手形を発行し、銀行から借入を行う方法。通常借入期間が1年以内である短期借入金に用いられる。
金銭消費貸借契約書を作成し、借入を行う方法。通常借入期間が1年以上のいわゆる長期借入金に用いられる。
当座預金の取引先に対し、あらかじめ約定した一定の限度額および期間の範囲内であれば、いつでも当座預金残高を超えて振り出された小切手の支払いを認める貸付の方法。
※貸付側から見ると上記の区分はそれぞれ、手形貸付・証書貸付・当座貸越となる。
受取手形を期日前に金融機関等に裏書譲渡し、支払期日までの金利相当分を差し引いた金額を受取る方法である
商法では、計算書類のひとつであった営業報告書が会社法では廃止されこれに代わる報告書である。しかし、会計計算に必ずしも関するとはいえない等の理由から、計算書類からでははずされる。会社法施行規則で事業報告は、会社の状況に関する重要な事項(計算書類やその附属明細書の内容となる事項を除く)、体制の整備についての決定・決議をその内容とする。なお、公開会社の場合、社外役員等を設ける会社の場合、会計参与設置会社の場合、会計監査人設置会社の場合の特則があわせて定められている。また、敵対的買収に対応するために、その会社の支配に関する基本方針を定めている場合には、支配に関する基本方針も記載されることになる。株主に行う事業報告は、書面による提供、電磁気的方法による提供とされている。
従来は、商法の規定により社債額を額面金額で負債計上する必要があったので、実際に会社が受けいれる金額との差額を社債発行差金として処理していたが、これからはその制限がなくなり、償却原価法(差額を満期までに利息処理し、割引発行の場合には負債の額を元金返済額に積み増ししていくなどの処理)で対応することになる。よって、社債発行差相当額は、社債発行額から直接控除することになる。
従来の商法では、利益処分案の作成と承認が求められていたが、会社法では、利益処分案が廃止され、これに代わって株主資本等変動計算書が作成される。具体的には、株式会社は純資産項目の増減を示す株主資本等変動計算書ならびに連結株主資本等変動計算書を作成することとなる。(会計規91-1、93)。
会社法で、株主総会または取締役会の決議により、剰余金の配当を随時決定でき(会453、459)、また、株主資本の計数をいつでも変動させることができることとされたため、貸借対照表および損益計算書だけでは、資本金、準備金および剰余金の数値の連続性を把握することが困難になるためこの計算書の作成が義務づけられる。
会社法では、期中に、いつでも、株主総会や取締役会の決議により剰余金の配当や自己株式の取得などの剰余金の分配ができるようになった。(会453)。この期中の随時行われる剰余金の分配に対応するため、分配の可能額の計算を簡潔かつ明確にする必要があり、計算方法が規定された。剰余金の分配可能額は、分配時における「剰余金の額」(その他の資本剰余金+利益剰余金(期中の期間損益は除く)の合計)等から分配時の自己株式の帳簿価額と期中における自己株式の処分の対価および法務省令で定める額を控除して求める。(会461 -2)。
なお、純資産額が300万円を下回る場合には、剰余金の配当等を行うことはできないものとされている。(会458)。これは、最低資本金制度が廃止された一方で純資産額の下限を設け、会社債権者の保護の趣旨が伺える。
従来の商法では、決算制度としては、定時決算制度(毎期一定の時期に決算を行う制度)により利益を確定し、配当等を行っていた。しかし、会社法では、株主へのより柔軟な利益還元を可能とするため等の理由から、従来の定時決算制度に加えて、臨時決算制度(臨時に会計期間を区切り、利益計算等を行う制度)を導入し、臨時決算日までの利益を配当等に算入できることとした。この臨時計算書類を作成することにより、分配可能額に直近の期間損益を反映することができる。
会計参与とは、取締役と共同して計算書類及びその附属明細書等を作成する役員のことをいう。会計参与は、定款で会計参与を設置する旨を定めて、株主総会において選任される。会計参与になれるのは、公認会計士若しくは監査法人または税理士若しくは税理士法人に限られている。会計参与は、取締役、監査役、執行役といった他の役員と同様に、任務を怠ることによって会社に損害を生じさせた場合には、賠償責任を負い、株主代表訴訟の対象にもなる。
金融商品取引法とは、株式や金融先物等の売買に関するルールを包括した法律で、証券取引法を抜本的に改正して制定される法律である。投資ファンドや5%ルールの取り扱いの規制、有価証券報告書への虚偽記載への罰則等を強化した。また、商品説明や勧誘のルールを厳格化し、不適切な勧誘や販売を禁止して、投資家の保護を徹底するようにした。なお、立案段階では「投資サービス法」と呼ばれていた。
合同会社とは、いわゆる日本版LLCと呼ばれるもので、出資者全員が有限責任社員でありながら、内部自治は民法上の組合と同様の規律が適用される組織のことをいい、米国のリミテッド・ライアビリティ・カンパニーをモデルに創設された。会社法の中では、合名会社や合資会社と同様に持分会社に属することになる。ジョイントベンチャーや特別目的会社(SPC)においての利用が考えられる。ただ、税制上のパススルー課税は認められていないため、急速な普及には至っていない。
種類株式とは、株式会社が内容の異なる株式を発行する場合に、種類の異なる株式のことをいう。種類株式の内容としては、優先・劣後株式、議決権制限株式、取得請求権付株式、取得条項付株式、拒否権付株式、取締役・監査役選任権付株式等がある。種類株を導入することによって資金調達と経営管理の両方について機動性を持たせることや事業承継において多様な選択肢を取ることができるため、普及に期待がもてる。
会社の憲法とも呼ばれる定款は、会社の目的等会社の組織活動に関する重要事項を定めた規則である。この定款の定めに従って会社を運営していくことを定款自治という。平成18年5月から施行された新会社法では、この定款自治の範囲が旧商法・有限会社法に比べ、大幅に拡張された。
新会社法では、定款に記載することによって初めて効力を有することになる相対的記載事項が多く追加された。会社の状況に応じて、定款により、たとえば、①取締役会や監査役の非設置②種類株式の発行や単元株式数③株式譲渡制限対象の柔軟化④取締役や監査役の任期伸長⑤監査役監査権限の限定⑥取締役会の書面決議などが可能となる。
米国では、エンロン事件等の巨額不正事件を契機として、2002年、経営者による財務報告に係る内部統制報告責任等を定めた企業改革法(制定者の名称に因んでサーベインズ・オクスリー法、通称SOX法)が制定された。日本でも、数々の企業不正事件を契機に、米国SOX法と類似の規制内容が織り込まれた金融商品取引法が2006年成立し、通称、日本版SOX法といわれている。
金融商品取引法では、財務計算に関する書類等の適正性を確保するための制度として①有価証券報告書等の適正性についての経営者の確認②財務報告に係る内部統制に関する経営者による評価・報告および公認会計士による監査を義務付けており、また、虚偽報告等に対しての罰則が定められている。
バーゼル銀行監督委員会(各国中央銀行間での重要な国際金融問題を協議する委員会)は、銀行の抱えるリスクが複雑化、高度化する状況において、金融システムの安定性を確保するために、自己資本比率だけではなく、銀行の内部管理や市場規律に重点を置き、また、リスク計測を精緻化する必要性などから、現行BIS規制の見直しを行い、2004年、新BIS規制案を公表した。現在、2006年末以降の適用開始に向け、各国で検査・監督体制などの整備が行われている。
新規制の柱は①自己資本比率の計算におけるリスク計測を精緻化する②銀行自身が自己資本戦略を策定し、金融当局がレビューする③自己資本構成など開示の充実を通じて市場規律の実効性を高めることである。
会社法で会社が作成しなければならない計算書類は、各事業年度の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表である。(会施規2)また、その他書類として事業報告ならびに附属明細書の作成が定められている。計算書類は原則として定時株主総会の承認を受けなければならないが、会計監査人設置会社においては、取締役会で承認されることを条件に当該計算書類が法令・定款に従い会社の財産・損益を適正に表示がされている場合には、株主総会の承認は必要とせず、定時株主総会の報告でよいことになる。
計算書類の重要項目についてその明細を表示し補足するものであるが、会社法では、事業報告と個別注記表が充実しているので、附属明細書が従来の商法の規定より、簡素化されている。貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の内容を補足する重要な事項を表示することになるが、その他として、①有形固定資産及び無形固定資産の明細、②引当金の明細、③販売費・一般管理費の明細、④会計監査人設置会社において、関連当事者との取引にかかる注記を省略した場合の省略した事項が挙げられる。
資本金を減少させることを減資といい、実務的には、減資相当分を準備金ないし剰余金の増加をさせ、この剰余金を財源にして、欠損填補を行うことになる。(会452)また、会社法ではすべての資本金を減少することができるので100パーセント減資が可能になり欠損填補の活用の幅が広がる。
会社法の規定では、減資は単純に資本の部の資本金の計数の減少に過ぎないため、減資による払い戻しの実施の有無、株式の償却(株数の減少)の有無とは別になる。よって「有償減資」を行う場合には、資本金の剰余金等への計数移動を行いその後に剰余金の配当の形で払い戻しを行い、他方、「無償減資」の場合には資本金の計数移動で終了する。また、同時に株式数の減少を行う場合には、あわせて、株式併合を行うか、当該株式を有償または、無償で自己株式として取得し、その自己株式を消却することになる。
商法においては、利益準備金は資本準備金と別々に規定され、両者を合わせて、法定準備金とされていたが、会社法では両方をあわせたものを単に準備金とされている。また、会社法施行規則や計算規定では資本準備金、利益準備金という概念が表現されている。その取り崩しは全額可能になり、また、利益準備金の積み立てについては、資本金の4分の1に達するまで、配当等の額の10分の1を積み立てることとしている。
資本準備金とは、たとえば、設立・増資等の株式払込金額のうち資本金に組み入れなかった額(会 445-2, 3)及びその他資本剰余金から配当をした場合に準備金積立額として発生する。 商法では資本準備金は利益準備金と別々に規定され、両者を合わせて、法定準備金とされていたが、会社法では両方をあわせたものを単に準備金としている。また、会社法施行規則や計算規定では資本準備金、利益準備金という概念が表現されており、その取り崩しは全額可能である。また、資本準備金の積み立てについては、資本金の4分の1に達するまで、配当等の額の10分の1を積み立てることとしている。
財務諸表は、企業が株主、債権者、課税当局、従業員等利害関係者に対して、財産状態、経営成績、キャッシュフロー情報を提供するための計算書類である。
財務諸表等規則では、従来の損益計算書、貸借対照表、財務諸表附属明細表及び利益処分計算書、キャッシュフロー計算書のうち、利益処分計算書又は損失処理計算書が削除され、株主資本等変動計算書が導入されている。会社法で計算書類と呼ばれるのは、損益計算書、貸借対照表、株主資本等変動計算書、個別注記表であり、その他書類として事業報告ならびに附属明細書の作成が定められている。(会 435-2)
出典先 不動産証券化ハンドブック2006-2007
不動産証券化協会 編集・発行
「取得」「獲得」。不動産・金融業界では、不動産・株式などの資産を買収することをいう。最近の不動産アクイジション業務は、不動産売買における通常の作業のほか、デューデリジェンスレポートのチェック、エンジニアリングレポート・環境調査・耐震診断レポートなどの確認から、ファンドの設計・組成まで多岐にわたることが多い。
なお「M&A」は、Merge&Acquisitionの略であり、企業の合弁と買収のことである。
ファンドマネジャーの判断・戦略に基づいた独自のポートフォリオを構築し、市場インデックスより高いパフォーマンスを積極追及する運営手法である。
・ [ アセット・アロケーション] (Asset allocation)
投資家の財政事情や投資スタンスにあわせ、株式や債券、不動産、現金などの各資産へどのような割合で投資すべきかを決める資産配分プロセスのこと。
それぞれの投資環境やリスク・リターン、相関性などを十分に考慮することが求められる。
・ [ アセットマネジメント] (Asset Management)
「資産運用」のこと。不動産を含む資産「全体」の効率的運用を目指し、ポートフォリオへの助言やファンド運用など広範な業務を行う。不動産部門におけるアセットマネジメントの内容は、不動産所有者または不動産ファンドから委託を受け、投資計画の策定・実施、デューデリジェンスの実施、組み入れ資産の取得および売却の意思決定、管理会社のモニタリング、収益最大化のための定期的な運用戦略の検討・実施など。
異なる時刻間、異なる地域間、異なる商品間における価格差を利用して利益を得る取引のこと。 同一の性格を持つ商品が異なる価格で取引されている場合、割安な方を買い、割高な方を売ることにより、リスクなしに収益を確定させることが出来る。マーケットの価格が理論価格に近づき、割高・.割安な状態が解消されたら、反対売買を行うことによって収益化する。不動産市場と金融市場にアービトラージの機会があれば、ファンドを組成した不動産会社はキャピタルゲインを得る可能性がある。
証券化のプロセスは、(1)証券化アレンジメント、(2)プレイスメント(発行証券を投資家に販売すること)に大別される。証券化アレンジメントとは、不動産などを元の所有者(オリジネーター)からSPV(証券発行体としての器)へ移して、証券の発行構造を組み立てる業務をいう。この業務の担い手をアレンジャーという。
アレンジャーには、投資家ニーズの把握、キャッシュフロー・エンジニアリング、さらにオリジネーターのメリット配慮など、高度な金融的スキルをベースとした業務遂行能力が要求される。証券化の成否は、発行証券の投資家販売にかかるので、証券引受業務や販売まで一貫して主導する証券会社などの投資銀行部門が、当初からアレンジャーとして関与するケースが多い。
期中の賃料収入や売却益など、対象不動産から得られるキャッシュフローは各種費用や修繕積立て、元利払い・元本償還などに充当されるが、それをどのような順番で配分するのかを詳細に規定したもの。
一般企業やSPC、REITが資金調達をする際には、エクイティで調達するかデットで調達するかの2つの選択肢があるが、株式の発行のほか、優先出資証券などの返済義務のない自己資本調達による発行媒体をエクイティという。
一般企業の場合、エクイティで資金調達をするか、デットで資金調達をするかは、自社にとって重要な財務指標である自己資本比率に大きな影響を及ぼすため、そのバランスを考えた資金調達戦略が重要となる。
投資家のポートフォリオのうち、市場の価格変動リスクにさらされている資産の割合のこと。
・ [ エンジニアリングレポート] (Engineering Report)
不動産証券化などにおける建物の適正評価手法として、デューデリジェンスのエンジニアリングレポートが注目され、不動産市場で普及しはじめている。デューデリジェンスは、不動産状況調査(土地状況調査・建物状況調査)、環境調査、法的調査、経済的調査に大別されるが、このうちエンジニアリングレポートは、土地状況調査の一部(地質・地盤)、建物状況調査、環境調査を対象とする。
また、エンジニアリングレポートは、①建物劣化診断による経済的耐用年数の判定、②維持・管理・保守費用の見積り、③有害物質の使用や保管状況の把握、④耐震診断結果・PML値の判定などを内容とする。
もともと、ある金融債権を最初に創り出した者を指すが、証券化においては、 原資産(債権)の所有者で、SPCに対して原資産(債権)を譲渡・売却する(した)者のことをいう。セラー(Seller)ともいう。
証券化の対象となる資産の信用力が高ければ、オリジネーターは自社の信用力に依存せず、資本市場から低利で資金調達することができる。また、SPCへの資産売却が真正売買と認められれば、当該資産のオフバランス化が可能となる。
証券化を仕組む場合は、SPVをオリジネーターの倒産から隔離することが、極めて大切である。
・ [ オルタナティブ投資 ] (Alternative Investment)
国内・外の株式や債券のような伝統的投資対象に代替して(=オルタナティブ)、これらとは相関しない、あるいは相関性が低いとされるヘッジファンドやプライベートエクイティ、不動産などに投資すること。
不動産事業の将来キャッシュフローを担保に、ビルやマンションなどの建設前に開発資金を調達する仕組みのこと。最近では開発型証券化を活用したプロジエクトが様々な分野で実施されはじめ、分譲マンションだけでなく、賃貸マンションや商業施設、オフィス、ホテル、結婚式場、都市再開発などに広がりをみせている。
特筆すべきは、デベロッパーが"未公開企業"や"無格付企業"であっても、プロジェクト自体の事業採算性が優れ、各種リスクを分離したスキームを構築していれば、開発型証券化に取り組めること。つまり、従来のコーポレートファイナンスでは信用力の劣る企業でも、プロジェクトの開発段階で資金調達を図ることができる。
・ [ キャッシュリザーブ ] (Cash Reserve)
期中のキャッシュフローから一定額を定期的に留保する信用補完措置のひとつ。元利金返済積立金や修繕積立金などが代表的である。
・ [ キャップレート ] (Cap Rate /Capitalization Rate)
不動産売買の現場では、グロス利回り・ネット利回り、キャッシュオンキャッシュなど、さまざまな利回りが、明確に区別されずに用いられ、混乱を招いている。
キャップレートは、NOI(年間賃貸収入から空室損失費、管理費、修繕費、固定資産税などの運営諸経費を控除した純収益。減価償却費・借入金利支払前の純収益)を投下資本額で除して求めた割合を指す。
グロス利回りに比べ、キャッシュフローに着目している点で、より精度の高い投資効率を表す。また収益還元法の一方法においては、純収益(NOI)をキャップレートで除して不動産価格を求める。キャップレートとDCF法の割引率との間には、次の関係がある。
キャップレート=割引率一成長率
機関投資家や外資が多用する利回りはほとんどの場合、キャップレートである。
これに対し、邦銀や不動産業者の多くはグロス利回りを用いることが多い。
投資元本の値上がり益のこと。これに対して、インカムゲインは利子・配当収入を指す。
社債の発行形態による分類のひとつ。公募は不特定多数の投資家を対象に、広く募集して債券を発行すること。
私募は少数特定の関係者のみを対象として直接的に募集し債券を発行することで、①50人未満の投資家を対象とし、かつ発行された証券が50人以上の者に譲渡される可能性が低い「一般投資家私募(少人数私募)」、②適格機関投資家(次項で説明)を対象とした「プロ私募」、③発行額が20億円以上200億円以内の「大型私募」などに細分類される。投資信託法は私募投信の形態に、少人数私募投信と、プロ私募投信の2タイプを認めている。
私募債および私募投信は、目論見書の作成・交付が不必要とされ、またプロ私募投信は、約款で運用報告書を受益者に交付しない旨を定めることができるなど、公募債および公募投信よりディスクロージャーや運用規制が緩和されている。これは、私募投資家は特定少人数に限定されており、知識レベルやリスク許容度が、公募の一般投資家より大きいと考えられ、また運用者から直接情報を入手しやすい立場であることにより、私募の方が実務的に柔軟な運用が可能とみられる。
融資実行後に、借入人(SPC)や関係者が遵守すべき事項のこと。具体的には、他業の禁止、公租公課の適切な支払いなどのほか、一定の行為については金融機関の事前了承を得ることなどがある。
違反は期限の喪失事由とみなされ、早期返済を求められることとなる。
・ [ コミットメントライン ](Commitment Line)
企業と金融機関が、予め定められた期間・融資限度額の範囲内で、企業の要請に基づき、金融機関が融資を実行することを法的に約束(=コミット)すること。これにより企業はマーケット変化への迅速な対応が可能となるほか、運転資金の確保などのメリットが得られるが、融資実行の有無に係わらず、一定の手数料を金融機関に支払わなければならない。
・ [ コミングリングリスク ] (Commingling Risk)
投資家に支払われるべき資金が、他の当事者の資金と混同(コミングル-commingle)されるリスク。例えば、原資産からの回収金が、サービサー会社自身の資金と混和している状態で、サービサーが破綻手続きに入ったとする。この場合、サービサーが保管していた回収金に対する返還請求権は、一般債権にすぎなくなり、SPVにストレートに引き渡されない。また危機時期を脱しても、サービサーからSPVへの回収金の引渡しが、破産管財人の否認権行使の対象となる可能性がある。
コミングリングリスクに対しては、バックアップサービサーを置いたり、パックアップサービサーに交るまでに失われるであろう回収額をあらかじめリザーブする必要がある。
建物の用途転換のこと。現在はオフィスビルを賃貸マンションへ転換することが主流。市場ニーズにマッチした用途へ転換することで、競争力を失った建物の資産価値を再生できる。
本来は「応諾、服従、追従」を意味するが、主に証券業界で「法令遵守」の意で多用され一般に定着した。法令・規則など各種ルール、倫理や社会規範などに従って行動することを指す。コンプライアンスの徹底は、重大なリスクを事前に回避し、企業経営の健全性を高め、自らの判断と責任に基づいた企業活動の遂行につながるもので、特に、金融証券業界で「法令遵守こそ市場競争力を決めるカギ」「信用の礎」として、コンプライアンス重視を打ち出す企業が急増している。
東京証券取引所では、会員企業のコンプライアンスを調査する独立機関を設け、悪質な違反に対しては、除名・会員権の停止・売買停止などの厳しい措置をもって臨むとしている。
貸出債権の管理・回収を通して、キャッシュフローマネジメントを行う専門家をいう。SPCは単なる導管体で債権回収機能がないため、延滞債権回収などは、外部サービサーに委託することになる。 債権管理と回収業務全般を担当するマスターサービサー、不良債権回収や担保不動産などの処分を行うスペシャルサービサー、またオリジネーターがサービサーを兼ねる場合、オリジネーターの倒産に備えて組み込むバックアップサービサーとがある。本邦では、1999年のサービサー一法施行により、弁護士以外の民間業者にもサービサー業務が認められた。
・ [ 事業証券化 ] (Whole Business securitization)
証券化の裏付けとなる資産は、一般に債権、不動産などの資産が多い。事業の証券化とは「キャッシュフローを生む事業そのもの」を資産価値とし、それを裏付けとした証券化商品である。事業証券化の先進国である英国では、パブ、老人ホーム、高速道路サービスエリア、病院、公共事業などがその事業のキャッシユフローを裏付けに証券化されている。
不動産証券化では不動産価値が評価の中心を占めるが、事業証券化は経営体制、事業の収益、利益率などの事業そのものの価値・収益が主な評価対象となる。特に資金提供サイドとしては、万が一、その事業会社が倒産しても、事業を引き継いで、継続していける他の事業会社(代替オペレーター)がいるかどうかも判断基準となる。
資産流動化法の目的のひとつは、特定資産の内容や証券化の仕組みなどについて十分な情報開示をすることにより、投資家保護を図ることにある。資産流動化計画とは、特定資産の流動化に関する以下の基本的事項を記載するものである。
1.資産流動化計画の計画期間など
2.資産対応証券に関する事項
3.特定資産の取得に関する事項
4.特定資産の管理および処分に関わる業務の受託者など
5.その他
資産流動化法では、批判の多かった従来の煩雑な手続きが簡素化され、資産流動化計画を定款に記載すること、また、公衆に縦覧させる特定目的会社名簿に資産流動化計画を登載する必要はなくなった。
今後の評価・鑑定の主流になる手法として注目されている。評価・鑑定の対象となる不動産が生み出す収益を還元利回りで割り戻してその価格を求める手法である。さらに噛み砕いて説明するなら、対象不動産から得られる諸経費・公租公課を差し引いた純収益が期待する利回りになるためには、いくらでの投資ならば見合うのかを求めるものだ。この方法は厳密には直接収益還元法と呼ばれ、実際の投資分析や証券化の実務ではDCF法と呼ばれる収益還元法が用いられている。
信託とは「委託者が、財産(信託財産)を信託銀行(受託者)に引き渡し、一定の目的(信託目的)に従い、本人または他人(受益者)もしくは社会のために、信託財産を管理処分させる」ことをいう。受益者がもつ権利の総称を「信託受益権」という。
これには、①信託財産から収益や元本の交付を受けることを受託者に対して請求できる権利、②受託者の信託業務処理を監督・チェックできる権利、が含まれる。
不動産証券化においては、オリジネーターが所有する不動産をSPCに移す際、流通税削減メリットや信託の財産保全管理機能を活かすべく、当該不動産を、一旦、信託銀行に信託して信託受益権に変換し、これをSPCに譲渡する方法が採られることが多い。
・ [ ストラクチャードファイナンス ] (Structured Finance)
仕組み金融、すなわち、何らかの特別な仕組みを用いた金融技術のことを、ストラクチャードファイナンスという。格付けなどによって信用リスクを客観化し、コントロールする金融技術として、時々刻々、高度に進化している。
広い意味では「特定の資産を裏付けにして証券を発行し、その資産からのキャッシュフローや資産自体の処分価値を、発行証券の元利返済に充当する仕組み」を指し、不動産証券化商品などのアセットバック証券(ABS)は、ストラクチャードファイナンスを背景としてつくられた新しい金融商品である。
「金利差」または「利鞘」のこと。不動産証券化においては、SPCが異なる数種の社債券(トランシェ)を発行する際、リスクの度合いにより、社債の利率に差異を設けることが多い。この場合、「○号社債は、基準金利+スプレッド○○bp」「A号社債とB号社債のスプレッドは○○bp」(bp:ベーシスポイント。1bpは、1%の百分の1)などと言う。
なお、信用補完のひとつとして、原資産からのキャッシュフローと、SPCの投資家に対して支払う利払いとの間に、スプレッドを設け、スプレッド勘定として積み立てる仕組みがある。
租税回避地。オフショアと同義。かつて英国領ケイマン島の住民が英国の難破船を助けたことに対し、永久にケイマンにおける免税を議決したことが起源といわれる。ケイマン、バハマ、バージン諸島、イギリスのマン島、ジャージー、ガンジー島などが代表的。タックスへイブンの特徴は、①非居住者に対しては所得税、相続税、キャピタルゲイン課税は徴収しない、②資金移動制限や為替規制は最小限度、③秘密厳守、④租税回避が国家の方針であり、法人設立から得られる登記料、法人登記更新の際の政府納付金や手続き費用を国の財源としている など。タックスへイブンでの法人設立は非常に簡便であり、証券化においてはSPCをケイマン島などに設立することが多い。
なお、タックスへイブンを用いた租税回避に対する税制として、タックスへイブンに所在する日本法人の子会社などに留保された所得のうち、その持分相当分を、出資者である日本の法人・居住者の所得に合算課税する制度がある。
・ [ チャリタブルトラスト](Charitable Trust)
将来慈善団体に寄付することを約する制度で「慈善信託」と訳される。証券化では、倒産隔離のため、SPCとオリジネーターとの間の資本関係が存在しないようにすることが必要で、資本関係切断の方法として、この制度を活用する。
具体的には、チャリタブルトラストが保有する会社を、タックスヘイブン(ケイマン島のような租税回避地)に設立し、国内SPCの議決権付株式を、この会社に保有させる仕組みをつくる。これにより、“実質的な株主がいない孤児状態”ができあがる。
2002年4月に施行された中間法人法に基づき、公益目的でもなく、営利目的でもない、言わば中間的団体といえる同窓会やPTA、親睦団体などに法人格を付与することを目的に設立された制度。中間法人は、社員に共通する利益を図ること、剰余金の分配が禁止されていることなどの特徴がある。また、中間法人は出資をすることが社員の要件とされていないため、オリジネーターが基金拠出者となり、オリジネーターに関与しない独立系の会計士等が社員となることによって、資金提供者と議決権を有する者とを分離することが制度的に可能となっている。
すなわち、従来、不動産流動化においては、国内SPCの持分をチャリタブルトラストが議決権を保有する海外SPCに保有させることで倒産隔離を図ってきたが、当事者、引当財産ともに日本に存在するにもかかわらず、海外弁護士を利用しなければならないこと、英訳などの煩わしさ等が課題となっていた。海外SPCを中間法人の一種である「有限責任中間法人」に置き換えたスキームを三井住友銀行が開発し、これを格付機関各社も、一定要件の充足を条件にスキームでの利用を認めたため、急速に普及することとなった。
平成20年12月1日より施行される「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により、
この施行時にすでに存在していた中間法人は、そのまま一般社団法人として存続します。
収益還元法は大別すると、単年度収益還元法と多年度収益還元法に二分される。
前者がいわゆる直接還元法で、一般には取引利回りから還元利回りを求め、対象不動産の標準的な単年度純収入を還元して、収益価格を求める。
収益価格=純収益/還元利回り
採用する単年度収益は、通常初年度収益であるが、例えば初年度に多額の資本的支出が見込まれるような場合は、標準的な収支になるまでのキャッシュフロー表を作成したり、数年間の純収益を平均するなどの方法により、純収益を平準化することになる。還元利回りの査定は、主に投資家調査や取引事例調査によるが、他に「投資一団法」(借入金利・自己資本利益率を加重平均する方法など)や「利回り積み上げ法」(国債などの安定的な投資商品の利回りに対象不動産への投資のリスクプレミアムを加算する方法)がある。
簡便で取引利回りとのチェックが容易であるなどの利点がある反面、将来の収益や元本価格の変動を反映できないといった難点がある。
定期借地権には、①期間50年以上の一般定期借地権、②期間30年以上で期間満了時に地主が建物の譲渡を受ける特約が付いた建物譲渡特約付借地権、③期間10年以上20年以下でもっぱら事業の用に供するための建物を所有する目的のための事業用借地権、の3種類がある。いずれの場合も、契約期間の満了によって当然に地主に対して土地が返還される内容の借地権である。
従来は、例え契約期間が満了しても容易に土地を返還してもらえないという地主にとって極めて不利な制度となっていた。
外においては、通常借地といえば定期借地権であり、日本における普通借地はむしろレアケースである。
2000年3月に施行された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」によって導入された。従来の借地借家法における借家権は、借家人の保護に偏った制度であったが、定期借家権は貸主と借主が対等に契約が結べる制度である。
期間も借地借家法や民法の制限を受けず、契約期間の満了をもって建物(部屋)が貸主に返還され、契約の更新はない。再契約は可能だが、従来の借家権のように法定更新や合意更新で継続して建物(部屋)を借り続けることはできない。貸主と借主が合意できない場合は、借主は契約期間の満了と同時に立ち退きとなる。200㎡未満の居住用建物の場合は、借主側からの申入れから1か月で契約を終了させることができる。
定期借地権とともに、不良債権の処理・不動産投資、特に不動産の証券化・都市部の土地を有効活用していくうえで必要不可欠な制度である。
償還期日までにリファイナンスできなかった場合、物件売却により元本償還を図らなければならないが、そのために設けられた猶予期間のこと。
投資のポイントは、投資資金の回収であり、そのための戦略をいかに練るかが投資の巧拙を分ける。従来の日本の不動産投資スタイルは、投資対象不動産を超長期間保有し、キャピタルゲインを狙うことであったが、今後は、インカムゲインの獲得をメインにキャッシュフローを最大限に高め、一定期間後に転売して利益を確定するスタイルに転換していく。そのなかで、投資対象不動産の売却時期・売却方法などについて戦略的に検討し、流動性をいかに高めるかという出口戦略の重要性は非常に大きい。
なお、不動産の証券化において、デットで資金調達する場合は、償還期限において返済資金を確保することが必須であり、出口戦略が一層重要となる。
銀行借入や社債発行(起債)などの負債にあたる他人資本調達による発行媒体をデットという。
SPCやREITの場合、所有する不動産から得られる収入に対して可能な利払いや配当余力、そして出口戦略を十分考慮してエクイティとデットのバランスを決める必要がある。
・ [ テナントレップ ] (tenant representative)
不動産オーナーサイドではなく、テナントの代理人として、オフィスの提案や賃貸借契約など、適切な不動産戦略のアドバイスを行う立場である。
・ [ デューデリジェンス ] (Due diligence)
本来は、有価証券発行時に証券取引法に定める情報公開基準を満たしているか否かについて、弁護士などが詳細に調査確認する作業をいう。本邦でも、外資などに対するバルクセールの折に認知され、近時は「買主が投資判断するうえで、事前に行う精細調査」の意味で広く用いられている。不動産証券化においては、オリジネーターやアレンジャーが対象資産について、主に物理的側面(環境問題を含む)、法的側面、経済的側面などにわたる詳細な調査を、建築士、公認会計士、不動産鑑定士などの外部専門家に委託し、リスク分析やキャッシュフロー予測を行い、投資価値を判定することになる。
・ [ 倒産隔離 ](Bankruptcy Remoteness)
証券化においては、オリジネーターの信用力ではなく、証券化される資産そのものの信用力に依存した資産対応証券を発行する。たとえば、資産をSPC(証券化のための器)に譲渡した後、オリジネーターが破産し、破産管財人により直前の資産譲渡が否認されると、投資家は甚大な被害を受ける。そこで、実務上2つの側面で、倒産隔離を図ることが必須となる。
第1に、SPCそのものの倒産リスクを回避することである。このため、SPCが倒産しないような会社であるための「倒産予防措置」と、倒産状態になっても倒産手続きが開始されないための「倒産手続防止措置」が講じられる。
第2に、SPCが、オリジネーターの倒産手続きに影響を受けないことである。これには、オリジネーターからSPCに対して、特定資産を真正に譲渡(真正売買)することが必要で、オフバランス要件と密接な関係をもつ。
・ [ 投資信託 ](Investment Trust Fund)
日銀によるゼロ金利政策が長期化したことで、個人の資金運用がブームとなっている。なかでも注目される投資信託(投信)は、投資信託委託会社が証券会社や銀行を窓口として数多くの投資家から資金を集め、運用する金融商品である。
投資家にとっては、少ない資金で多額の資金を運用するのと同様に投資対象の分散(リスクの分散)が可能で、高いパフォーマンスを目指すことができるというメリットがある。その投資対象や運用手法によって、国債や地方債、社債、モーゲージなどの債券を中心に投資する債券型投資信託と、株式を中心に投資する株式型投資信託に分類される。
1998年に施行された「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」とその整備に関する法律によって導入された、資産の証券化のための制度である。
特定目的会社とは、従来の商法や有限会社法における株式会社・有限会社などとは異なる新しい形態の法人である。いわゆるペーパーカンパニーであり、不動産や債権などの資産を所有し、それらを裏付けとする証券を発行し、資産から得られる収益を配当あるいは利払いするための、単なる「箱」あるいは「器」としての働きをするものである。
制度上の優遇処置としては、最低資本金が少額で、取締役および監査役が最低1人で済むなど、株式会社に比べて設立が容易である。また、設立や不動産移転時の登録免許税の軽減、不動産取得税の軽減、法人税の軽減など、多岐にわたる税が軽減される措置が図られている。
匿名組合は、商法535~542条に基づき設立された団体であり、組合員(出資者)が背後に隠れ、対外的には営業者の単独企業経営のように行動する特徴をもつ。出資財産は、営業者の単独所有とされる。組合に対する利益配当は法人税の課税対象でないため証券化の際に「TK(匿名組合)+YK(有限会社)」などといった仕組みで頻繁に利用される。
平成19年度の税制改正で、支払調書及び源泉徴収制度の対象となる匿名組合契約等に係る組合員の人数要件を撤廃し、すべての匿名組合契約等に基づく居住者又は内国法人に対する利益の分配が、支払調書及び源泉徴収制度の対象となった。
(注)上記の改正は、平成20年1月1日以後に支払われる匿名組合契約等に基づく利益の分配について適用される。
過去の実績、運用成績のこと。プロパティマネジメントの世界では、主に「不動産賃貸収支履歴」や「建物ハード面の修繕、維持管理などの履歴」を指す。
不動産取引や証券化に際してデユーデリジェンスが定着した今、修繕・維持管理などのハード面のトラックレコードは、エンジニアリングレポートの作成に必須のものである。また賃料収入・管理費・修繕費・固定資産税・火災保険料・テナント入退居などの中長期にわたる履歴が整理されていれば、その実績を前提とすることにより、将来の賃貸収支を高精度に見積ることが出来る。
詳細なトラックレコードを備えた不動産は少ないが、物件個々の客観的価値を高め、不動産投資市場を成長させるには、トラックレコードの蓄積開示が不可欠であり、PM業者の果たすべき役割は大きい。
フランス語で「ひと切れ」のことを言う。証券化で資金調達する際、リスク・リターンに差をつけた複数の社債を発行することがあり、それぞれの切り分けられた各社債をトランシェと称する。例えば、利払いの優先度合い(リスク)が異なる3種類の社債を設定する場合、最も安全性の高い(=クーポンレートの低い)社債を優先債(シニア債)、中程度の社債をメザニン債、最も安全性の低い(=クーポンレートの高い)社債を劣後債と呼ぶ。
利払いは安全性の高いトランシェから、メザニン債→劣後債の順で、順番に充当される。
・ [ 内部収益率 ] (IRR=Internal Rate of Return)
基本的な考え方はNPVと同様だが、NPVが現在価値の合計と投資額の差額を求めて期待利回りを上回るか否かを判断するのに対して、IRRは純収益を現在価値に割り戻して投資額に対する収益率、つまり「利回り」を求めて、期待利回りと直接比較するためものである。
現在のように計算機やコンピュータが発達普及する以前は、複利現価率の数値表をもとに何度も計算してIRRを求めていたため、計算しやすいNPVを多用していた。
現在は、MS excelによって簡単に求めることができる。
・ [ ノンリコースローン ] (Non-recourse loan)]
日本における不動産担保融資がリコースローンであるのに対して、海外ではそのほとんどが「ノンリコースローン」と呼ばれる「非遡及型融資」である。つまり、担保である不動産を処分してなお残債務がある場合でも、貸手はそれ以上の返済を請求することができない。
貸手は担保不動産処分後の残債務については返済を請求できないため、借手にとっては物的担保の価値を上限として債務が返済不能となり、不動産市況の下落で担保不動産の価格が下落しても追加的債務弁済を履行する必要がない。
予想以上に日本におけるローンの形態もリコースローンからノンリコースローンへと転換しているのが実情である。
市場インデックスと同等のパフォーマンスを得ることを目標とする運営手法。
一括売却のこと。1990年代、米国の貯蓄金融機関(S&L)の担保不動産を売却する際に、整理信託公社(RTC)が初めて導入した手法。日本でも、金融機関が賃借対照表から不良債権を切り離して最終処理する際、外資などへの売却手法として定着した。不良債権処理にあたり、案件個々に債権回収を行い、個別に競売を申し立てると、多額のコストがかかり、回収期間の長期化リスクなどが発生する。このため、回収が絶望的な債権や、担保不動産の権利関係が複雑な場合、物的に瑕疵がある場合などは、債権を一括して処分し早期現金化する方がメリットがあるとしてこの手法が多用された(処分額は債権元本の5~10%といわれる)。
銀行単体のバルクセールのほか、大口案件を処理し終えた複数の大手銀行が不良債権を持ち寄り公開入札で売却する「横断バルクセール」という形態もある。1999年には、整理回収機構(RCC)が健全金融機関からの不良債権バルク買いを始めた。
もともとは「防火壁」のこと。金融の分野では、金融機関内部での部門間での情報、資金、役員等の交流を遮断することをいい、顧客・利害関係者への情報開示(ディスクロージャー)と並ぶ、代表的な利益相反防止策である。
利益相反は資金の効率的な配分を阻害し、金融機関の信用低下をもたらす恐れがある。本邦では93年、金融・証券の相互乗り入れの解禁の際、情報の遮断・人的交流の制限・営業所の分離などの措置を講じることにより、子会社方式によってそれぞれの業務への参入が認められた。
・ [ ファンド・オブ・ファンズ] (Fund of Funds)
各運用会社のファンドをパッケージ化した投資スキームであり、ワン・パッケージで複数のファンドに投資でき、各投信への資産配分比率で、安定運用や積極運用など、投資家の資金性格に応じた運用が可能となる。
株式、債券など得意分野が異なる複数の運用会社にそれぞれ運用を委託し、運用タイプが異なる複数の投資信託を購入するため、リスク分散される利点がある。
日本の不動産投資市場が未成熟であったのは、不動産情報、とくに投資収益指標がなかったことによる。そこで、近時、株価における日経平均やTOPIXなどの指数の不動産版として「不動産(投資)インデックス」が登場した。
具体的には、不動産投資収益をインカムゲインとキャピタルゲインとに分け、インカム収益率とキャピタル収益率、それを合計した総合収益率を計算し、全体集計やエリア別集計を行う。
この指標が広く浸透すれば、不動産全体の資産特性、オフィスビルや住宅などの種類別特性、地域別特性などが明らかとなり、ポートフォリオ組成や投資パフォーマンス評価の基準として、力を発揮する。J-REITの成功には、精緻な不動産投資インデックスの存在が不可欠であるといわれている。
不動産特定共同事業は、不動産の小口化・不動産共同投資の手法のー形態である。不動産の証券化と目的は似ているが、性質および法的な位置付けはまったく別のものである。
1994年に不動産特定共同事業法が制定され、不動産特定共同事業による不動産の小口化商品の設立・運営に規制が加えられた。同法が制定される以前から、不動産共同出資商品として存在していた。
商品化の第1号は、三井不動産販売が87年に販売した信託方式の商品であった。その後、多くの不動産業者が不動産共同出資商品の販売を行い、その後のバブルの崩壊によって多くの投資家が損失を被る事態となった。その結果、投資家を保護する目的で制定されたのが同法である。
不動産特定事業には、大きく分類して民法535条から542条に基づく匿名組合方式(2号商品)と、同じく民法667条から688条に基づく任意組合方式(1号商品)の2種類があり、現在は匿名組合方式(2号商品)がその主流となっている。同法施行当初は賃貸型の不動産特定共同事業もあったが、現在は賃貸型の商品はみられなくなった。
プライベートエクイティとは、引受先が小人数の投資家に限定される私募の証券のうち、株式や転換社債、ワラント債などのエクイテイ(自己資本=株主資本)のことを指す。市場動向など流動的な要因に左右されにくく、上場株や国債などの伝統的な投資に対する代替的な投資の代表格とされる。
欧米では年金基金を中心とする機関投資家により、主にファンド投資を通じてこのプライベートエクイティ投資が行われ、スモールビジネスの資金調達を円滑にしてきた。
日本でも金融ピツグバンを契機に1997年7月、未上場・未登録の有価証券のうち店頭取扱有価証券の証券会社による投資勧誘が解禁された。また、同年10月、投資信託においても15%を上限としてこれらの有価証券を組み入れることが可能になった。
・ [ プリンシバルインベストメント ] (Principal Investment)
外部投資家から受託した資金ではなく、自己資金による中長期的な投資のこと。
・ [ プロパティマネジメント ] (Property Management)
投資不動産の収益を高めるには、管理・運営が極めて重要となる。そこで、不動産の管理業務や賃貸業務、修繕業務を監督指揮する高度な不動産管理運営業務として、プロパティマネジメントが脚光を浴びている。日本でもビルのメンテナンス業者は多数存在するが、米国のように家賃回収から不動産の維持補修に至るまで全てを網羅し、かつ、不動産の積極的な価値向上を提案できる能力を備えたプロパテイマネジャーは数少ないといわれている。また、REITの運用会社として、投資判断業務や賃貸方針、管理方針を策定するアセットマネジメントと並び、プロパティマネジメントは、証券化派生業務の中心に位置付けられる。
投機的な投資信託の一種。借入れによるレバレッジを効かせ、投機的取引や複雑な裁定取引を行う。多くの場合、タックスヘイブン(租税回避地)に設立され、法律や規制を避け、投資家の資金を世界各国の様々な金融商品などに分散投資し、高い収益を目指す。名前の由来は1940年代末に米国で誕生した頃、相場下落リスクを空売りなどの手法で危険回避(ヘッジ)を図ろうとしたことによる。
為替・金利などを対象とするマクロ派、株・債券の個別銘柄を対象とするマーケットニュートラル派、破産寸前の企業に投資するディストレス派などがある。莫大な資金を持つヘッジファンドが高度に発達したIT技術を背景に世界の資金の潮流を作っているが、その実態は明らかではない。最近ではヘッジファンドに投資するファンド・オブ・ファンズが販売されている。
その昔、港(port)では船荷証券などの書類を2つ折りの書類入れに分類、整理していた。この書類入れがポートフォリオである。転じて、資産を分類・整理した一覧表を指すようになり、現在は所有資産全体の組合せ方を言うようになった。
< 個人のポートフォリオについては財産三分法と呼ばれる概念があって、資産内容を大きく「預貯金」「有価証券」「不動産」の3つに分類して考え、そのバランスはそれぞれ総資産の3分の1ずつになるように組むのが一番よいとされていた。最近では、より細かい分類によって資産を管理する。それは投資環境の変化、金融商品の多様化、分散投資理論の発展などによって個人投資家もより有利により安全に投資をするようになってきたためである。
ファンドの場合は、集めた資金の資金量や性質などによってアセット・アロケーションを行い、ポートフォリオを組み立てて運用するが、あらかじめ投資スタンスをまとめた目論見書に基づいた運用をしなければならない。例えば、IT関連の株式に投資することを謳ったファンドはそれに基づいた運用に縛られる。この際、ファンド内の資金の組合せをポートフォリオという。
統計学でいう「標準偏差」のことで、データの散らばり具合を表す指標のこと。過去の市場の価格変動から統計的に算出される「ヒストリカル・ボラティリティ」と、市場参加者が予想するプレミアムから逆算して求める「インプライド・ボラティリティ」の2種類がある。
このうち、ヒストリカル・ボラティリティは、一連の価格推移、あるいは経過期間のレートの変化率の年率標準偏差。ヒストリカル・データを活用することにより予測することが多い。
アレンジャーが受託する、クロージングまでの作業の統括に対する依頼のこと。
2004年12月1日の改正証券取引法施行に伴い、プライベートファンドの主流と言える「YK+TK」スキームにおいて、匿名組合契約に基づく出資持分が、投資家保護の観点から有価証券とみなされることになった。これにより出資募集にあたっては、自己募集の場合を除き、証券業登録が必要となったほか、50人以上の一般投資家へ出資を募った場合には、有価証券届出書や四半期報告などの継続開示が義務付けられることとなった。
なお、募集対象人数は原則6か月間通算されるため、少人数でも短期間に複数のファンドを組成した場合には、期間中の勧誘人数が50人に達した段階で公募とみなされる。
・ [ メザニンローン ] (Mezzanine Loan)
メザニンとは中2階の意味。デット部分の資金返済の優先度に応じて切り分ける場合、シニアローンの次に弁済権をもつのがメザニンローン。シニアローンに比べリスクが高い反面、高い金利水準を確保できるため、むしろメザニン部分に対する投資に積極的な金融機関もある。
メザニンとは中2階の意味。デット部分の資金返済の優先度に応じて切り分ける場合、シニアローンの次に弁済権をもつのがメザニンローン。シニアロ優先出資証券とは、株式会社における優先株に相当する出資で、優先出資社員(優先出資証券の保有者)は「議決権」のー部を放棄する代わり、「利益配当、残余財産の分配」についての優先権をもつ。特定出資と異なり自由に譲渡できる。
優先配当権により、配当可能額の範囲内において、特定社債に比較して優先して配当が受けられる。ただし、エクイティ型の証券であるから、特定社債とは異なり、確定利回りが保証されるわけではない。経営が好調で、潤沢なキャッシュインが実現すれば、多額の配当を受け、流通価格は上昇する。特定資産の価値が上昇してキャピタルゲインが発生すれば、期間満了時に特定資産の処分益から優先的な分配を受けることもできる。しかし、逆の場合は、無配当になったり、元本自体が保証されないこともある。
不動産証券化などでは、資金の一時的な不足や対象資産の損失発生に対処するために、様々な信用補完(発行者自らが行う内部信用補完と、第三者が行う外部信用補完がある)を講じる必要がある。
優先劣後構造は内部信用補完の代表的なもので、証券の発行にあたり、配当・償還の優先権に差をつけた複数のクラスを設定する仕組み。具体的には、発行する証券を、債券などの優先部分と株式などの劣後部分に分け、裏付資産から生じるキャッシュフローをまず優先部分に支払い、残余を劣後部分に支払うことにする。劣後部分の割合を適正に設定すれば、万一、裏付資産からのキャッシュフローが不足しても、劣後部分がデフォルトリスクを十分吸収し、その結果として優先部分の信用力を高めることができる。
・ [ リート ] (Real Estate Investment Trust =REIT)
不動産投資信託と訳される。米国では、不動産を投資対象とする会社型投資信託として多くのリートが証券取引市場に上場されており、05年末の時点で市場規模は約39兆円にのぼる。不動産ないしは不動産投資商品の一番の弱点である流動性が、証券取引所で取引ができることによって確保されている。米国内国歳入法の第856条から第860条の規定に適格していなければ、通常の事業法人と扱いは同じとなる。
そのため、日本のSPCとは違い保有資産の組換えも自由であり、パフォーマンスの向上のためのアクティブな対応が可能となっている。投資対象は、ショッピングセンター、レジデンス、オフィス、ホテル、ヘルスケアなど多岐にわたっており、なかには刑務所を対象としたリートも存在している。
・ [ リバースモーゲージ ] (Reverse Mortgage)
日本の高齢者の資産構成は、マネープア・ハウスリッチといわれるように、マイホームがあっても金融資産が少ないのが特徴である。リバースモーゲージとは、自宅不動産などを担保にし、そこに住み続けながら、自治体・民間金融機関から年金型の生活資金融資を受け、死亡時もしくは契約終了時にその住宅・宅地などを売却して元金の返済に充てる制度である。
通常の融資では借入金残高は時間とともに減少するが、この制度では、借入金残高が時間とともに増加する点が特徴で、この意味でリバース(逆)モーゲージと言われる。
リバースモーゲージにおける融資側のリスクとして、(1)借り手の長生き、(2)地価下落、(3)金利上昇の3要因が大きく、この十数年、不動産デフレが続いてきた日本では、本格的な導入には至っていない。
ローン組替えのこと。不動産証券化においては、資金調達はデット(負債)とエクイティ(資本)とにより構成される。デットは、社債発行またはノンリコースローンによることが多いが、いずれも償還(返済)時期が確定しているため、これらの時期が近づくと資金手当が必要となる。具体的には、tail period(予定償還日から最終償還日までの期間)中に、最終償還日における社債の元本償還原資の調達を目的に、下記の方法を検討する。
1.リファイナンス(新規ABS発行またはノンリコースローン借換)
2.目的動産のオリジネーターへの売却
3.目的不動産の外部への売却
この際、再度、資産担保証券を発行したり、ノンリコースローンによるリファイナンスを受ければ、既存ローンを返済でき、特別目的会社を通して物件を所有し続けることができる。また、物件売却の場合は物件の代わりに特別目的会社を売却することも可能である。
利回りにも所有期間利回りと最終利回りがあるが、単純に利回りといった場合には最終利回りを指す。発行額面100円・期間10年・利率2.0%の国債を発行時に額面100円で購入し償還まで所有していた場合は、利率と同じ2.0%が利回りになる。ところが、発行後5年が経過した時点で証券市場において95円で購入し償還まで所有した場合でも額面100円当たり2.0%の金利の2円が支払われ、5年後の償還時には発行額面の100円が戻るので差額の5円が利益となり、この国債の利回りは約3.15%となる。
レバレッジ効果ないしは単にレバレッジという。小さな力で大きな力を得られるlever(てこ)を語源として、財務分野で用いられるようになった言葉である。
不動産投資での具体例をみると、自己資金1億円で物件価格1億円、年間純収益800万円の物件を購入した場合、投資利回りは8.0%となる。これに対して、自己資金1億円があって、物件価格5億円、年間純収益4,000万円の物件を金利3.0%、返済期間25年で4億円借り入れして購入した場合の元利返済後の自己資金1億円に対する投資利回りは17.2%となる。
単純利回り8.0%の物件に対して、同額の自己資金を投資しているにもかかわらず、投資利回りに2倍以上の差が現れている。前者と後者ではどちらが投資効率に優れているかは言うまでもない。
金銭貸借の貸し手側をレンダー(lender)、借り手側をボロワー(borrower)という。なお、不動産賃貸借においては、貸し手側の地主・家主をレッサー(lessor)、借り手側の借地人・建物賃借入をレッシー(lessee)という。
不DCF法に必要な5つの数値のなかで、最も理解がむずかしいものが割引率である。投資総額における自己資金と借入金の割合に応じて、投資家の投資額に対する期待利回りと借入金の金利の加重平均によって求められるものである。割引率は、借入金比率×利率+自己資金比率×自己資 金に対する期待利回りの数式で表せる。
証券化のメリットのひとつは、オフバランス化による財務体質の改善であるが、これには一定の要件が課されている。
2000年7月に発表された「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」(日本公認会計士協会)によれば、「オフバランス化」=「譲渡資産のリスクおよび経済的価値の外部化」を前提に、流動化する不動産の譲渡時の適正な価額に対するオリジネーターのリスク負担金額は概ね5%の範囲内でなければならないとする。これを5%ルールという。
なお、5%ルールを満たしていても、オリジネーターが不動産を買戻し条件付きで譲渡している場合や、オリジネーターが譲渡不動産からのキャッシュフローや残存価額を実質的に保証している場合などは、オフバランスが認められないので、実際の証券化に際しては、会計士などとの綿密な打合せが肝要である。
不動産証券化で用いるSPCや投資法人などの「器」を組成するときに、もっとも大切なことは、その器が「導管性」を有し、器と投資家の双方に対する二重課税を回避することである。
すなわち、一般の法人では、利益配当は資本取引として扱われるため、損金として課税所得から控除することはできず、投資家は税引後の利益から配当を受け取ることになる。これに対し、SPCや投資法人は、一定の要件を満たせば「導管性」が認められ、利益の配当などを損金として控除することができ、投資法人などの利益は投資法人段階で課税されることなく、投資家に配分される。
支払配当を損金処理するには、投資法人・SPCそれ自体が適法であるなどの要件を満たすほか、各事業年度に「当該事業年度に係る配当などの支払額が、その事業年度の配当可能所得金額の90%超」でなければならない。後者の支払配当要件を、一般に90%ルールという。額を実質的に保証している場合などは、オフバランスが認められないので、実際の証券化に際しては、会計士などとの綿密な打合せが肝要である。
・ [ CAPEX ] (Capital Expenditure)
資産の修理・改良に支出した金額のうち、資産価値を高め、またはその耐久性を増すこととなるものをCAPEX(資本的支出)という。
・ [ CMBS ] (Commercial Mortgage Backed Securities)
商業用不動産(オフィスビルやSC)を担保とする貸出債権を集めてプールし、この債権の元利返済金を償還原資として、格付けの異なる債券を新たに発行する仕組みのこと。デット型不動産証券化商品の代表的存在である。
1983年に誕生した米国のCMBS市場は、現在、市場残高3,000億ドルに達し、資本市場および商業用不動産金融市場の中心的地位を占めている。日本では1998年に、JPモルガンが第1号を手掛けた。
・ [ CSR ] (Corporate Social Responsibility)
企業の社会的責任のこと。雇用の創出や税金納付などを通じ、企業は社会に貢献をしていると言えるが、カネボウやライブドアが起こした問題を引き合いに出すまでもなく、企業活動には本来、社会的倫理や環境への配慮、ステークホールダーに対して責任ある行動をとることが求められる。
また財務状況だけではなく、CSRを基準に投資判断する社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)という考え方も注目されている。
・ [ DCF法 ] (Discounted Cash Flow Analysis)
不動産の価格は、理論的には、その不動産から毎年計上されると期待できる純収益と、将来売却するときに発生する回収額を、現在価値に割り戻した金額の合計額となる。DCF法は、この考え方を応用した不動産投資分析手法である。
具体的には、まず、収益用不動産から計上される投資予定期間中の各年度の純収益を予測し、これら各年度の純収益を現在価値に割り戻した金額を合計して、将来の賃貸収入から得られる純収益による価値を求める。
次に、投資予定期間が終了し、不動産を売却したときに予測される入金額も、現在価値に割り戻した価格として求める。この両者を合計した金額が、DCF法による収益価格となる。その際、主に純現在価値(NPV:正味現在価値)と投資収益率(IRR:内部収益率)が大事な指標となる。
NPVは、不動産への投資額と、将来の入金額の現在価値の合計額とを比較して、投資の有利・不利を判断する指標。NPVがプラスになれば、投資家が希望している投資採算が得られることになる。IRRは、投資物件のNPVをゼロにする割引率のことで、IRRが投資家の期待利回りより大きければ、投資家が希望している投資採算が得られる。
・ [ DCR ] (Debt Coverage Ratio)
DSCR(Debt Serice Coverage Ratio)とも言う。借入金の返済能力をみる指標で、年間の純収益に対する元利返済の割合を表わす。基本式は、
<純営業収益 (NOI)/借入金償還額(DS)
DCRが1を超えると、不動産から得られる純収益によって、借入金の元利金を返済できることになる 。 LTV(融資比率、掛け目)が、ある意味でストックとしての安全性を表わすのに対し、DCRは、キャッシュフローの安全性を示す。米国の銀行の融資基準では、DCR1.05~1.2といわれている。
・ [ EBlTDA ](Earning Before Interest,Taxes,Depreciation and Amortization/金利・税金・償却前利益)
収益性および財務分析では「営業利益」「経常利益」「税前利益」「税引き後利益(最終利益)」などを重要な指標としている。しかし、営業利益は減価償却の方法次第で大きく変化する。また株式売却などの益出しによって、経常利益も大きく変化する。EBITDAは「税前利益」に「支払利息」と「固定資産の減価償却費」を加えた指標である。
会計基準や税率などによる影響を比較的排除でき、多額の非資金費用である減価償却費を加えており、キャッシュ面からの収益力を正しく反映するので、国際間での企業の収益力比較や財務分析に特に有用とされる。
なお、株価のバリエーションを行う際に用いる「EV/EBITDA倍率」は、EV(Enterprise Value/企業価値=株価時価総額+負債-保有現金)をEBITDAで割ったもの。
米国のREITなどを参考に創設された日本版の不動産投資信託のこと。投資家から集めた資金でオフィス、商業施設、住宅などの賃貸不動産を購入し、そのインカムゲイン(賃料など)や、キャピタルゲイン(売却益)を配当として投資家に分配する。2000年11月の投資信託法改正によって設立が可能となり、2006年2月末現在、27本が東証、1本が大証、ジヤスダツク市場にも1本が上場している。
・ [ LLC ] (Limited Liability Company)
もともとは米国州法に基づいて設立される会社形態で、合同会社と訳される。主な特徴として(1)出資者に無限責任が生じない(2)株主への配慮を必要とせず出資者主導の自治性が高い経営が可能(3)組織は非課税で、構成員のみへの課税となる(パス・スルー課税)など株式会社と組合双方のメリットを併せ持ち、ハイリスクな事業にも対応しやすい。
日本版LLCは新会社法の施行によって法制化され、簡便な会社組織としてその性格上有限会社に代わる組織形態として注目を集めているが、囲内では法人格を有する組織には法人税が適用されるためパス・スルー課税が適用されず、二重課税が生じる可能性が高い。
・ [ LLP ] (Limited Liability Partnership)
05年8月の有限責任事業組合契約法の施行により設立が可能になった組織形態。有限責任事業組合と訳され、LLCと同様の性質を持つが、法人格をもたないために法人税が免除され、二重課税のリスクがない。そのため投資ファンド向きの組織形態といえる。
LTVは、社債発行時における対象不動産の資産価値に対する社債元本金額の割合。不動産証券化スキームでは、優先劣後構造による内部信用補完措置を講ずるが、デットの割合、すなわちLTV により、将来の資産価値変動リスクをどの程度カバーしているかを判断できる。LTVは、稼働収益と社債償還時までに確保すべき売却金額を含めたキャッシュフローが、想定される種々のリスクにより、どのように変動するかを勘案して設定される。
・ [ MBS ] (Mortgage Backed securities)
個人向けの住宅ローン債権をプールし、それを裏付けとして発行される社債のこと。1970年に米国政府住宅抵当金庫が、住宅ローンを流動化する手段として発行したのが最初とされる。米国の資産流動化は、MBSを中心に発展した。現在、米国のMBS市場は、米国国債とほぼ同規模の発行残高を有するまでに成長している。
本邦でも住宅金融公庫および民間金融機関の主導により、ようやく組成が始まったところ。なお、住宅リフォームローンや、アパートなどの賃貸事業者向けローンを原資産とするものは、CMBSに分類するのが通常である。
・ [ PFI ] (Private Finance Initiative)
1992年11月に英国で導入された概念。日本では1999年9月に法が施行された。従来、公共セクターによって行われてきた社会資本整備の分野に、民間事業者の資金・経営ノウハウ等を活用し、民間主導で効率的・効果的な公共サービスの提供を図る考え方。従って、「公共性の確保」「収益性の確保」が重視される。また第3セクター方式とは異なり、官民の役割分担の範囲・責任が、事業主体を決定する時点で明確に定められる。
なお、主な事業スキームとしては、以下の手法がある。
1.BOT(Build-Operate-Transfer)
業者が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)・所有し、一定事業期間の維持管理・運営(Operate)を行った後、事業終了時点で公共に施設の所有権を移転(Transfer)する方式。
2.BOO(Build-Operate-Own)
業者が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)・所有し、維持管理・運営(Operate)をするが、公共への所有権移転は行わない(Own)方式。
3.BTO(Build-Transfer-Operate)
が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)した後、施設の所有権を公共に移転(Transfer)し、施設の維持管理・運営(Operate)を民間事業者が事業終了時点まで、行っていく方式。
・[ PML ] (Probable Maximum Loss)
PML(予想最大損失率)は、施設または施設群に対し、耐用年数50年間のうちに10%以上の確率で発生(再現期間475年に相当)し、最大の損害を与える規模の地震による損失に対する、建物の再構築にかかる原価の総額によって求められる。例えば、最大補修額が100意円と予想される物件の修復費用が10億円であった場合は、PML値は10%と算出される。一般的にPML値が20%を超えると不動産評価の低下に繋がるが、囲内では新耐震基準の適用前後で数値に差が見られ、適用前の物件では20%を超えるケースも少なくない。
・ [ SPC ] (Special Purpose Company)
一般に、特別目的会社と訳される。不動産をはじめとした資産を流動化(証券化)する為に設立される有限会社や株式会社のことを指す。このSPCや、資産流動化法に基づく特定目的会社(TMK)などはすべてSPV(Special Purpose Vehicle)という概念に包括される。
・ [ UP-REIT ] (Umbrella Partnership REIT)
米国でREITが急成長を遂げたのは、アップリートが1992年に登場したことによる。アップリートはREITが不動産を直接保有するのではなく、パートナーシップを通じて保有する仕組みで、不動産をREITに売却する際のキャピタルゲイン課税を繰り延べられる点に最大の特徴がある。
アップリートの仕組みは、
1.REITは投資家から得た現金をOP(オペレーテイングパートナーシップ)に拠出してゼネラルパートナーシップ(GP)の持分を取得。
2.REITに物件を拠出するオリジネーターは、その見返りとして将来REIT株に転換できる権利が付いたリミテッドパートナーシップ持分(OPユニット)を取得する。
3.オリジネーターは取得したOPユニットをREIT株に転換する。
すなわち、通常、オリジネーターはREITに不動産を拠出すれば譲渡益課税がなされるが、アップリートでは、OPユニットをREIT株に転換するまで、キャピタルゲイン課税が繰り延べられる。
現在の米国REITの8割は、アップリートの仕組みを使って組成されたものといわれている。
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